IoT対談インタビュー
IoT賃貸住宅の普及のために3社ができること
【林氏】ミサワホームでは賃貸住宅でのIoT導入拡大を今後のテーマのひとつに掲げています。まずはインターネット接続サービスを中心にした事業を展開されている(株)ギガプライズの高島さんは賃貸住宅のIoT化についてどう考えていらっしゃいますか?
【高島氏】当社では、集合住宅向けインターネット接続サービスをメインにさまざまなIoTサービスを展開しています。ミサワホームさんとも賃貸住宅向けサービスを開発、10月より「ベルリード・ネット」という名称でサービスを開始しました。さまざまなIoT機器をつなぐには、安定&安価なネット回線が必要ですから、まずはそこからがスタートです。それから、IPカメラを使った防犯・見守りによる安全・安心の向上や、スマートロックや家電コントローラによる利便性の向上に繋げることで、賃貸住宅にIoTによる新たな魅力を与えたいと考えています。
【林氏】ソニーネットワークコミュニケーションズ(株)の横沢さんにお聞きします。さまざまな機能を持つネットワーク機器に強みをお持ちですよね?
【横沢氏】当社ではLED照明型「マルチファンクションライト」(以下MFL)というIoTの中核になる商品を販売しています。シーリング型でそこからエアコンやテレビなどさまざまな機器につなぐことができます。人感センサーもついているので人の動きが把握でき、見守りにも役立ちます。とにかく何ができるかは、後からでも考えられるので、簡単に導入できる機器を開発&販売しようと心がけました。費用としては、数万円程度で導入できます。
どんなサービスを提案するかそれがこれからの普及のポイント
【林氏】実はIoT住宅、特に賃貸住宅に関しては、まだまだ入居者が何を求めているのかが見えていない状況ですよね。
【横沢氏】確かに。進化と共にニーズも増えていくでしょう。ですから誰でも必要とするエアコンやテレビ、照明の操作等、できると便利だと思える機能から始めていくべきと考えます。機器が普及したら、その後それぞれのニーズにあったサービスを提供していけばいいと思います。
【高島氏】当社もインターネット回線という形で多くの入居者と繋がっていますから、そこから得た声を活かしてサービスを作り、より暮らしを便利にしていきたいと思っています。
【林氏】ミサワホームでは、IoT住宅のシステムを戸建向けに提供している実績があります。そのノウハウを賃貸住宅に活かしていければという想いです。
【横沢氏】不動産仲介会社からオーナーさまへIoT機器の導入をお願いするために、多くの打ち合わせを繰り返してきました。そこでネックになるのはやはりコストの問題です。ランニングコストをできるだけ抑える工夫が必要になってくると思います。
【高島氏】確かに賃貸住宅ではコスト面の問題は出てきます。インターネット回線でも、コストと回線速度のバランスが大切になってきます。
【横沢氏】入居者目線では、IoT住宅はとても魅力的に感じられているという実感があります。
IoTで利便性を付加すれば『家賃が上げられる』という発想
【横沢氏】コストバランスを考えるならIoT照明「MFL」を設置したことで、実績として3000円ほど家賃を高くできたという事例があります。
【林氏】それは大きいですね。実質、数年で投資が回収できてしまう。
【高島氏】部屋内の見守りに使えるセキュリティ設備などは、高齢者向けや単身女性向けの賃貸住宅において、大きな付加価値になると考えています。メリットをしっかりと伝えることができれば、賃貸経営の武器になるのではないでしょうか。
【林氏】世の中ではまだまだIoT住宅の認知度は高くないと思います。賃貸住宅のオーナーさまは、経営面から見ているので、こういった先進の機器には感度が高いと思いますが。
【高島氏】まさにそうだと思います。一歩先を見ることが、賃貸経営には必要ですから、オーナーさまはご理解いただけると思います。
【横沢氏】とにかく難しいことは後にして、簡単に導入できて、その先の未来にさまざまなサービスが広がっていくというアピールが大切だと思います。ミサワホームさんのような多くの賃貸住宅を提案している企業にアピールしてもらえることは大きいと思います。
【林氏】オーナーさまにとって、魅力的なシステムということはもちろんですが、何より入居者の利便性や快適性、そして安全性の向上が一番大切な部分だと思います。今後もIoT賃貸住宅の普及のために、皆さんのお力を貸してください。本日はどうもありがとうございました。