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季節のいろどり
カッティングガーデンの
すすめ
庭やバルコニーで咲いている花をお部屋の中にも飾って、日々のいろどりをさりげなく演出してみませんか。
カッティングガーデンとは切り花にするための植物を育てている庭や花壇、バルコニーなどの栽培スペースのこと。日々の成長を楽しみながら育てた花を生けることは、買った切り花では感じることのできない喜びがあります。
庭やバルコニーの花をお部屋にも取り入れて、季節感を感じる豊かな毎日を楽しみましょう。

どんな花が向いている?

①ワンシーズンでたくさんの花が咲く
チューリップのように1本の茎から1つの花が咲く花より、枝分かれして多くの花が咲く花なら、惜しみなくカットできます。また、カットすることで次の花芽をつける性質があるため、適度なカットで株がしっかり育ち、切ったところから分枝するので、茎の数が増えて花数も多くなります。

1本の茎から1つの花が咲くタイプ

枝分かれして多くの花が咲くタイプ
②数日間咲き続ける
朝に開花して夕方にしぼんでしまう一日花(いちにちばな)は、切り花には向きません。最低でも数日、同じ花が咲き続けているものが向いています。
③水の吸い上げが良く、日持ちする
水に生けて、ある程度日持ちがする花が向いています。花によっては、土の中では長い期間元気なのに、水に生けると日持ちしない性質のものもあります。生ける際は、茎を斜めにカットして切り口の断面積を広くすると、水を吸い上げる量が多くなります。
育て方の基本
①水やり
〈地植えの場合〉植え付け直後以外は、猛暑が続き、地面が割れるほど乾燥した場合のみ水やりをしましょう。土中に水分があるのに人為的な水やりを続けると、植物の根が深く張らずに水やりをして浸透した浅い部分に向かって伸びてしまい、結果的にグラグラと安定しない株になることがあります。
〈鉢植えの場合〉表面の土が乾いたら優しい水流で鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。
②肥料
〈一年草〉花の開花期間が長い一年草は、定期的に追肥が必要です。使用している肥料の頻度に合わせて施しましょう。
〈宿根草〉同じ株から毎年花を咲かせる宿根草は、春から初夏と秋に緩効性肥料を与えましょう。肥料を与える頻度は、花の開花期間によっても若干違いがあるので、プランツタグなどで確認すると確実です。
※ほとんどの草花は、真夏に肥料を与えると株が弱る原因になるので、夏は控えめにしましょう。
③花がら摘み
咲き終わった花を摘み取ることが大切です。花がらをそのままにしていると、次の花を咲かせることより、種をつくることにエネルギーを集中させます。終わった花をこまめに摘み取ることで、新しい花を咲かせやすくなります。

摘み取ったビオラの花がら
初夏から秋におすすめの花々
〈ヤグルマギク〉

〈エキナセア〉

〈ルドベキア〉

エキナセア同様、3年目以降にはたくさん咲き誇ります。黄色などの鮮やかな色だけでなく、チョコレートやベージュのようなシックな色合いの品種もあります。
〈センニチコウ〉

〈ジニア〉

〈アジサイ〉


剪定する位置
〈ハーブ類〉

切り花にするときのポイント
①収穫時間帯
植物にとって、昼間は水分を発散する時間、夜間は水分を蓄える時間です。同じ植物でも、早朝に摘み取ったものと正午に摘み取ったものでは、水の上がりや日持ちが変わります。収穫は、朝か夕方に行いましょう。
②切る位置
株元からたくさんの茎が立ち上がり、頂点に花を咲かせるタイプの花は、株元でカット。1本の茎が枝分かれする花は、これから咲くつぼみまで切らないように注意してカットしましょう。ただし、茎が混み合いすぎた場合は、風通しをよくするために適度に株元でカットするのもよいでしょう。

剪定する位置
③水あげ
お花屋さんでは仕入れた花は「水あげ」を行います。「水あげ」とは、畑で収穫し、ダンボール箱に詰めて市場に入荷してきた花を再び生き返らせる作業です。
一方、庭やベランダで摘んだ花は、直前まで土から水分を吸水しているため、収穫時間帯さえ注意すれば、すぐに生けることができるものがほとんどです。
身近なモノを花器にすれば、簡単に楽しめます!

水漏れの心配がないものなら、どんなものでも花器になります。
コップ、マグカップ、カフェオレボウル、ピッチャー、ジャムやワインのボトル……。花瓶だけが花を生ける器ではありません。自由でさりげなく、暮らしの中に育てた花を取り入れて楽しみましょう。

金子 三保子かねこ・みほこ
フラワーコーディネーター。1997年よりフラワースクールにてスタッフを経験後、2001年に花屋「レコルト」を設立。花のギフトや装花・コーディネイトなど、幅広く活動中。近著に『植物のきもち~がんばりすぎないガーデニング』(日東書院本社)がある。