interview
快眠は
人生を充実させる
快眠セラピスト
三橋 美穂さん
これまでの20年間に、
1万人以上の眠りの悩みを解決してきた三橋美穂さん。
「人生において、睡眠の価値は限りなく大きい。
しっかりと眠ることで、人生が充実する」と語る。
快眠がもたらす力について聞いた
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- 日本人は睡眠不足
- 日本は、世界でもトップクラスの睡眠不足の国です。特に40〜50代の日本人女性の睡眠時間は、世界でも一番短いことがわかっています。ネット社会になって、パソコンやスマホのブルーライトの画面を眺めて夜更かしをする人たちが増えています。社会や生活に対する不安やストレスが複雑になって、不眠に悩まされている人は5人に1人です。
私たちの活動のすべてに影響
人は眠ることで生きていると言えるほど、睡眠は私たちの活動のすべてに影響します。眠ることで脳を休めることができますし、新しい血液がつくられて免疫力が高まります。各種ホルモンが分泌されることで疲労を回復し、美しい肌や髪、骨や筋肉がつくられます。よい睡眠は、健康にも美容にもよいのです。
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- 睡眠不足の影響が明らかに
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世界中で睡眠の研究が進み、睡眠不足が人に与える影響が明らかになってきました。睡眠不足が続くと、倦怠感だけでなく、高血圧や糖尿病や認知症のリスクが高まることもわかってきています。現在、65歳以上の約15%が認知症です※。脳は眠っている間だけ、アルツハイマー型認知症の原因と考えられる老廃物を排除します。認知症対策という意味でも睡眠は重要なのです。※平成29年高齢社会白書より
仕事にも影響が出ます
さらに、睡眠時間が足りていなかったり、質のいい睡眠ができていないと、体調を崩したり、前頭葉の血流量が低下してイライラの原因になります。4時間睡眠の人は8時間睡眠の人に比べて、仕事のミスが約6倍というデータがあるほどです。
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- 幼児も睡眠不足に
- 最近は働くママが増えています。そのため、保育園に通う幼児は、家に帰るとママとの時間がうれしくて、ついつい夜更かしになってしまいます。しかし、子どもは眠ることで脳を育てています。睡眠時間の指針では、小学生までは連続して10時間。小学校低学年でも9〜10時間、高学年で8時間程度です。健やかな成長のためにも睡眠は重要です。
お勧めは、ママも一緒に早く眠ること
私のお勧めは、ママも子どもと一緒に早く眠ることです。ママが眠ってしまえば、子どもも寝てしまいます。早く寝るぶんは、早く起きて家事をすれば生活のリズムが整います。そうすることでママやパパの睡眠時間だけでなく、子どもの睡眠時間が確保できます。
睡眠が子どもの能力を伸ばす
記憶の保存や整理といった脳のメンテナンスも、睡眠中に行われます。「テストの成績をあげたい」という子どもたちには、勉強をした後にきちんとした睡眠をとることが重要だと教えてあげてください。睡眠中は、短期記憶が長期記憶として大脳皮質に定着するので、効果的なのです。
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- 眠る力を高めるには
- 眠りを改善するポイントは、簡単なものばかりです。たとえば、朝は陽の光を浴びてスイッチを入れる。日中にしっかりと太陽光を浴びる。夕食後などにテレビを見ながら、うたた寝をしない。就寝前の8時間のうたた寝は厳禁です。ベッドでスマホのブルーライトを眺めたり、寝る前にカフェインを摂取しない。習慣化してしまえば、難しいことではありません。
眠るという意志を持つ
朝陽を浴びて起きる。太陽が沈んだら眠る。昔は世の中がそうなっていたので、睡眠は自然にできていました。しかし今は、眠ることに対して、強い意志を持つことが重要です。よい睡眠をとるために、自らの生活を規則正しく律することが必要なのです。
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- 眠りの価値に目を向けよう
- 睡眠時間は、人生の1/3を占めるほど重要なものなのに、多くの人は眠りに無自覚なままです。睡眠はその日の疲れをとるためで、マイナスをゼロにすると考えてしまいがち。しかし、質のいい快眠は、プラスのポジティブな力を生み出すものです。よく眠れるようになると、健康や美容、脳などすべてにおいて好影響を与え、人生が充実していきます。
よく眠れる住まいに
睡眠には、環境づくりがとても大切です。陽の光を浴びることができる住まいで、活動的になれる間取りが適しています。寝室は大き過ぎず、落ち着く広さに。壁は、アースカラーなどリラックスできる色合いに。明かりは間接照明が望ましいですね。そうやって眠りにこだわって、より豊かに生きるために"快眠"を続けてほしいと思います。
撮影:ミサワホーム 「CENTURY 蔵のある家」渋谷展示場
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profile
- 三橋 美穂さん
- 快眠セラピスト。睡眠を多角的にとらえた実践的なアドバイスと、手軽にできる快眠メソッドで、これまでの20年間に1万人以上の眠りの悩みを解決。テレビや雑誌等で支持を集め、睡眠のスペシャリストとして多方面で活躍中。日本語版監修を手がけた「おやすみ、ロジャー魔法のぐっすり絵本」(飛鳥新社)はシリーズ累計100万部を突破した。
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