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interview

子どもたちに
“食べる”を楽しむ人生を

フードアナリスト
とけいじ千絵さん

予約の取れない人気講座
「子どもの味覚の育て方」の講師が、とけいじ千絵さん。
味わうことを知り、食べることや料理をすることを
楽しむことが人生を豊かにする。
そのために、子どもたちに
親ができることを教えてもらった。

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  • 両親ともに食べることが好きでした
    幼少期から味覚を鍛えられてきました。たとえば小学校低学年くらいから、人参をまるごと使ったポタージュと、皮と軸をとったポタージュの食べ比べをしたり、レシピを見ずに考えながらホワイトソースをつくったり。両親は食べることが好きで、私にも同じように、食に興味をもって欲しかったのだと思います。

    栄養学に美味学をプラス
    母が体を悪くしたときに、持っている専門知識の全てを駆使して最適な食事メニューを提案しましたが、「美味しくない」と口にしてもらえませんでした。それがきっかけで、どんなにからだにいい食事も、食べてもらえなければ意味がないと気づきました。それから栄養面だけでなく、どうすればより美味しく、心地よく食事が楽しめるかという美味学の視点から、食について深く考えるようになりました。そして子どもが生まれ、子どもの食育について考え始めました。
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  • 幼少期の味の記憶がベースに
    最近では子どもの3割が、塩味と苦味をきちんと区別できなかったり、酸味がわからなかったり、味を正しく認識できないと言われています。幼少期の味の記憶が成長してからの嗜好のベースとなるので、子どもの味覚を育てるには、幼児期までに味の刷り込みが大切です。味覚は経験して学習していくものなので、離乳期・幼児期に親が何を食べさせるかが、子どもの味覚に大きく影響します。

    いろいろな食材や味を経験させましょう
    離乳期にはいろいろな食材を、幼児期はそれに加えて様々な味付けを経験させましょう。そうやって幅広い味が脳に記憶されると、わずかな味の違いに気づいたり、複雑な味わいを理解できるようになり、子どもの味覚が開花していきます。また、いろいろな料理を食べていると、自然にバランスよく栄養素が摂取でき、結果的に健康な体がつくられるのです。

    薄味と旬野菜を意識すれば簡単
    調理のポイントは料理を薄味にすること、そして旬の野菜を使うことです。味付けを薄くすることで、素材本来の味が引き立つようになります。また旬の味には、うま味はもちろん、苦味や酸味といったたくさんの要素が含まれています。調味料を入れ過ぎてしまうと、食材本来の味がぼやけてしまい、子どもの味覚の幅を狭めてしまうのです。

    離乳期に出汁で味覚をつくる
    離乳期から出汁を使ったレシピを勧めています。幼い頃から出汁を使った料理を食べていると、懐かしく心地よい香りとして記憶されます。そうやって出汁の味や香りを覚えていると、大人になっても自然に和食を好むようになります。すでに味覚のベースができている幼児期の終わりや学童期からだと時間がかかってしまうので、味を意識する前の離乳期から味覚のベースをつくっておくことが大切です。
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  • 食事を楽しむ場づくりが大切です
    子どもの味覚には「楽しい」や「好き」といったポジティブな感情が大切です。食卓の雰囲気が楽しいと、苦手な食材が食べられるようになるかもしれませんし、バーベキューのような食にまつわるダイナミックな経験も、子どもたちが好き嫌いを減らすきっかけになることが多いですね。

    食が子どもの好奇心や表現力を育てる
    幼児のうちは、なかなか食べることに集中できないものです。そんなときは無理して食べさせるのではなく、「食べるとどんな音がするかな?」といったコミュニケーションをとることで、食べることに興味を向けさせていくことが大切です。たとえばオクラを口にするときに「お星さまの形だね」「食べるとネバネバしているね」と話しかければ、子どもは自分が口にしているものに集中します。食べ物への興味が高まり、好奇心を育みます。もやしの食感は、“カリカリ”というより“シャキシャキ”。そんな繊細な表現力を食が育んでくれるのです。
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  • 家族の歴史をつなげていく
    私自身も子育てをしていて、子どもの食の悩みや苦労は絶えません。うちの子は、なかなか食事に集中してくれないので、もっと食べることに興味を持ってくれるように、子どもが料理好きになるように働きかけています。一緒に餃子を包んだり、野菜を切ってみたり。かえって手間は増えていますが、働くママの一人として世の中に料理男子を増やすことが私の使命だと考えています。私はレシピ本を母から引き継ぎました。その本は、今でも母とのつながりです。そうやって家族の歴史をつなげていきたいですね。

    “食べる”を楽しんでほしい
    最近はサプリメントや栄養バーなどで簡単に栄養をカバーできて、食はどんどん簡素化しています。しかし、人間にとって食べることは喜びです。そして “食べる”を楽しむことこそ、食育の基本だと思います。平日の食事は簡単にすませても、週末は家で家族や友人と食事の時間を楽しむ人たちが増えていますね。そうやって食を楽しむ文化を、子どもたちに伝えていきたいですね。そして、これからも食べることが家族の中心として残ってほしいと思います。

    撮影:ミサワホーム 「CENTURY Primore3」新大久保展示場
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profile

とけいじ千絵さん
とけいじ千絵さん
フードアナリスト/食育スペシャリスト。『審食美眼塾』主宰。食育を中心に企業へのコンサルティングや商品開発、講師、執筆など幅広く活躍している。幼児期の子どもや孫のいる人を対象にした食育講座は予約が取れないほどの人気講座。

関連サイト
shinshokubigan

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0〜5歳 子どもの味覚の育て方
0〜5歳 子どもの味覚の育て方
募集開始から30分たたずに満席という予約のとれない講師として人気を博すとけいじ千絵さん。食を通じて子どもの人生を豊かにしたいという食育のエッセンスやレシピを載せた、子育てママの食の悩みや不安に応える一冊。2016年6月(日東書院本社)



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