厳しい寒さと猛烈なブリザードが吹き荒れる南極大陸。人の活動や環境汚染の影響が少ないこの場所には、地球がたどってきた長い歴史が、氷や大気の中に刻まれています。
数十万年前の気候を記録した氷床。大気、海洋、生物、地質、そして宇宙。世界各国の研究者がさまざまな分野で観測を続ける南極は、地球の現在を知り、未来を読み解くための、かけがえのない観測の地なのです。
国家プロジェクトとして1956年から行われている南極地域観測。厳しい環境の中での観測活動に欠かせないのが、隊員の命と暮らしを守る建物です。
厳しい寒さや強風に耐える性能だけではなく、限られた期間・人員で建てられること、輸送しやすい大きさや重量であること。通常の建築とはまったく異なる、さまざまな条件を満たす必要があります。
これまでの建築の常識が通用しない南極で、観測活動を支える建物の建設に携わる、ミサワホームの歩みが始まりました。
1968年から半世紀以上続く南極での建物建設のお手伝いは36棟に及び、現在は37棟目になる「夏期隊員宿舎」を建設中です。
その過程で培われた知見は、断熱性・気密性・耐久性などの性能にとどまらず、限られた人員と資材で確実かつ効率的に施工するための発想や技術にも及びます。
南極での建物づくりに求められたものは、ミサワホームが追求してきた「工業化住宅」の考え方や性能と深く重なるものでした。
そしてミサワホームの歩みは、昭和基地から内陸へ約1,000km離れた、さらに過酷な環境にあるドームふじ観測拠点IIへ。
標高3,810m、最低気温はマイナス79℃にもなる極寒の地。この過酷な環境下で活動する隊員の暮らしを支えるため、昭和基地で「南極移動基地ユニット」を用いた持続可能な住宅システムの実証実験が行われました。
実証を重ねた「南極移動基地ユニット」は、現在、隊員の居住空間としても活用されています。
こうして南極での建物づくりを通して培われた技術と知見は、住宅性能や施工技術として、日本の住まいづくりにもいかされています。
気候や自然環境が変化し、災害への備えがこれまで以上に求められる今、住まいも環境の変化に対応しながら、安全・安心で快適に暮らし続けられる性能が求められています。
極限の環境で得た知見を、変化する地球環境に適応する技術へ。これからの暮らしを支える住まいづくりのアイデアへつながっています。