interview
大好きな世界が
あふれる家は楽しい!
ヴィジュアルマーチャンダイザー
小林夕里子さん
家に帰れば、大好きな世界があふれている。
愛着のある雑貨から元気をもらえるし、
明日への刺激もある。それに、とにかく楽しい。
インテリアショップ・イデーでディスプレイを担当する
小林夕里子さんに、大好きなモノの
楽しみ方や見せ方を聞いた。
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- どのようなモノが好きですか。どのような基準でモノを購入しますか?
- 北欧の雑貨が多いですが、メキシコやペルー、イギリスのものもあります。好きで集まっているのはマリンテイストのもの。端正なモノより、なんだか愛嬌のあるモノが好きです。新しいものよりは昔から誰かが使い続けてきたような、愛情がこもった感じのモノが多いですね。最近、友人に「やかんが多いね」と言われて数えたら、やかんは6つ、ティーポットは9個もありました。
モノ選びのターニングポイントは、20代前半の頃の北欧へのホームステイでした。コペンハーゲンから電車で3時間くらいの郊外でしたね。北欧の方は、古いモノを大切にしていました。一つひとつの家具に歴史がありました。磨いて、使って、壊れたら、修理して使う。デンマークでは、セカンドハンドショップで買い物をするのが一般的で、専門店も多かったです。食器専門、家具専門といったように分かれていて、新品よりリサイクルして使うのが当たり前のようでした。掘り出しモノも多いので、今でも行きたくなります。
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- 大好きなモノをディスプレイすると、暮らしは変わりますか?
- 部屋は、自分の「好き」を100%表現することができる場所。私の部屋は、大好きな世界があふれています。部屋は、暮らしの中で多くの時間を過ごす場所だからこそ、一つひとつのモノを大切にできるといいなと思います。大好きなマリングッズやガラス作品、座り心地のいい椅子、使いこまれたキッチンツールなど。自分の身の周りにあるモノが暮らしを豊かにしてくれています。
部屋で愛着のあるモノを眺めていると、心が安らぎます。また、それと同時に、明日はこんなファッションにしようとか、こんなイメージもいいなとアイデアが生まれたりします。暮らしを豊かにしていくスイッチのようなものかもしれません。手入れや掃除が大変と思われるのですが、それも楽しいものです。愛着のあるモノを拭いて、棚をきれいにして、また並べる。それだけで、心がリフレッシュできます。気持ちがすーっと晴れやかになります。
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- モノをディスプレイするインテリアのルールはありますか?
- 私は「イデ―」というインテリアショップのディスプレイの仕事を担当しています。お客さまが見やすいように、手に取りやすいようにして心地いいショップづくりをしています。実は部屋も同じです。モノが多くても、すっきり見せるルールがあります。たとえば、グル―ピング。棚の上のここはガラスの世界、テレビの隣はマリンの世界と、エリアごとに並べると世界観ができて落ち着きます。
マリンの世界には、もうひとつルールがあります。マリンの世界は、ソファに座ったときの目線に合わせた高さに置いています。部屋でリラックスするときに、楽しめる高さです。目線より高く飾ると部屋に窮屈感がでてしまいます。これは、ディスプレイで言うゴールデンライン。ショップのディスプレイにおけるお客さまの目の高さのことです。そして、目に見える所にモノがあふれていると疲れてしまうので、コーナーごとに余白のスペースを持たせるようにしています。他にも本棚の上の棚は「飾る」スペースにすると、すっきりと見えます。いろいろやり始めれば、自分の理想の部屋に近づいていって、楽しくなると思います。
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- 子育て家族にとっての「好きなモノに囲まれた暮らし」の価値とは?
- 小さいお子さんのいらっしゃるご家族だと、「危ないから」、「壊れるから」と言ってモノをしまっている方が多いと思います。でも、手が届かない場所に置くなど工夫をして、少しでも目に触れるだけで気分は変わります。モノでなくとも、グリーンでも、ちょっとしたアートでもいいと思います。
子どもにとっても、愛着のあるモノと暮らすことは、自然にモノを選ぶ練習になります。ブランドや流行に左右されることなく、「これは自分が好きなモノだから」と自信を持って、自分の基準でモノを選べるようになります。好きなモノは、その人の個性。モノ選びは、その人そのものです。だから、心が安らいで、そして心に刺激を与えてくれるモノを身の回りに置いて、暮らしてほしいですね。
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profile
- 小林夕里子さん
- 2007年、株式会社イデーに入社。ショップの副店長などを経て、VMD(ヴィジュアルマーチャンダイザー)ディスプレイ担当となる。全国のイデーショップのディスプレイを監修する傍ら、VMD講師などを手掛ける。モノを大切にするライフスタイルが注目され、女性誌などでも注目されている。