

トップ - HomeClub特集 / 住まいのイメージをふくらませる - フィンランド工場で環境に配慮しながら木材を調達
2025.09.30
1994年に設立されたミサワホームのフィンランド工場。特長のひとつは、貴重な木材資源を、100%無駄なく利用できる体制が整えられていること。製材時に発生した端材は隣にある市の火力発電所に送り、発電燃料として利用。発電時に発生した蒸気も製材工場に戻され、木材の乾燥工程に使うという徹底ぶりだ。もうひとつの特長は日本式の生産体制。現地の一般的な工場では汎用性の高いサイズの木材を短時間で大量生産するが、ミサワホームの工場では日本からのオーダーをみながら必要なものを必要なときに必要なだけ生産。ミサワホーム専用の最適なサイズで製材されるため、部材加工の際にも無駄が発生しなくなる。
供給の安定化もフィンランド工場のポイントだ。1990年代の日本は、北米産木材の依存度が高く、一方で北米における環境規制の高まりから、供給の安定化が懸念されはじめた時代。フィンランド工場の設立には、そんな課題を解決する狙いもあった。実際2021年のウッドショック時には木材が入手できないという悲鳴が建設業界のあちこちから上がったが、ミサワホームでは通常通りの調達が可能だった。これは住まいの完成を待つオーナーさまにとっても大きなメリットと言えるだろう。
フィンランドの木材には、品質の高さというメリットもある。たとえば平地がほとんどの寒冷地という気候風土により、年輪が密で強度の高い木が育つこと。そのため、製材後の変形が発生しにくく、品質の高い住まいに最適な木材となる。フィンランド材のこうした高いポテンシャルをしっかり活かす品質管理が直接できることも、自社工場ならではのメリットだ。設立から30年以上の歴史があるフィンランド工場。これまでに5万5千本もの植林活動を行い、また現地での雇用を生んでいることも評価され、2018年には「ミッケリ市企業賞」を受賞。そんな工場でつくりだされた木材が、私たちの住まいに活用されている。
フィンランドは森林が減少しないように年間の伐採量を成長量以下に制限している環境先進国。森林は、斜面が少なく、1年を通して北面にも日照があり、木が根本から真っすぐ育つため、製材後のくるいが生じにくく、住宅建材に最適な木材となる。日本の木材に比べ真っすぐ育つ木は、年輪が同心円状に美しく広がっている。
一般的な多くの住宅メーカーがすでに製材・乾燥された木材を製材会社から購入しているのに対し、ミサワホームでは、使用する木材の高い品質の維持と環境への配慮を徹底するため、木の調達から製材、部材加工まですべての工程を直接行う一貫体制を導入。フィンランドの森は斜面でなく平地なので大きな機械が入る。調達・製材・乾燥させた木材を効率的な体制で日本に出荷。
木材加工で発生した端材や樹皮は隣接する火力発電所に送られ、バイオマス燃料として活用。発電された電力はミッケリ市の電力の約8~10%※を担っている。発電時に発生した蒸気は製材工場に戻され、木材の乾燥炉に活用。資源の無駄を徹底的に省く体制を確立。チップはパルプの原料に。その他の木くずや樹皮は発電所のバイオマス燃料に活用。
※2019年~2023年実績 MHF調べ
フィンランド工場はPEFCのCoC認証を取得。「PEFC」とは持続可能な森林管理の促進をめざす森林認証プログラム。フィンランド工場は、製品がPEFC認証の森林からの由来であることを証明できる「CoC認証」を取得している。