既存の福祉施設とは一線を画すデザイン
茨城県水戸市にカフェのような斬新なデザインの「山水苑デイサービス千波」が完成しました。茨城県で高齢者向け施設を複数経営する社会福祉法人山水苑のご担当者さまにお話を伺いました。
「デイサービスは今回で3ケ所目です。他の場所でカフェ風デザインのデイサービスを始めたところ、大変好評でしたので、のんびりお茶を飲んで、お風呂に入ってリラックスできる、カフェや日帰り温泉のようなデイサービスを作ろうと考えました」。
デイサービスの利用を勧められる方の中には、「まだ自分には必要ない」と、通うのを嫌がる方もいらっしゃるそうです。“通いたくなる施設”が、運営のカギになります。
「従来の福祉施設とは異なる新しいデザインにすると共に、実用性も追及しました。特に、利用者が長く過ごすデイルームは、なるべく広く開放的な空間にしたいと考えました。ミサワホームの木質パネル工法により、デザイン性の高い設計ができ、柱や梁で遮られることのない大空間を確保することができたので、大変満足しています」。
ローズガーデンや準天然温泉の浴室も魅力
広いデイルームには、カフェスペースがあり、淹れ立てのコーヒーや紅茶がいつでも自由に飲めます。また、可能な限り窓を大きくしたことで、採光性に優れ、窓からローズガーデンがよく見えます。
「ローズガーデンは最後までこだわったものの1つです。市内で参考になるような場所を探しました。ある結婚式場に、自分のイメージと近いものがあり、写真を撮って参考にしました」。
浴室からは、窓の外の坪庭を眺めることができます。
「浴室には麦飯石を利用しており、準天然温泉が楽しめます。冬場、体を洗っているときも寒くないように、天井に熱線ヒーターを完備しています」。
脱衣室には、プライバシーを保つために、電動のブラインドを採用しています。
「電動のブラインドは、ほかの施設にはないもので、現場で働く職員からの提案でした」。
現場の職員の声も反映し、新規の利用者は増加
キッチンの打ち合わせには、調理を担う現場の栄養士も同席し、炊飯器の置き場所や、厨房の水栓の位置まで綿密に決めました。
他にも現場で働く職員の意見を反映し、手すりを追加したり、棚の高さなどを変更しました。既存の施設では、トイレの匂いにお困りだったことから、気になる場所に消臭効果のある壁材「エコカラット」を導入しています。
さらに注目は、機能訓練の現場で人気を集める「レッドコード」を導入した機能訓練室です。レッドコードは赤い紐のような器具で、ストレッチや筋力増強の効果が期待できます。
取材に訪れたのは、オープンから4ケ月後でしたが、毎月利用者の数が増え、片道30分かけて通う人もいるとのことでした。親しみやすいデザインでありながら、実用性も兼ね備えたことで、地域で人気のデイサービスとなりました。