開業して早26年、待合室は人が入りきれないほど地域では評判のかかりつけ医院。全体的に手狭になり、建替えを決意した。とにかく全体に「広く、ゆったり」とした空間づくりをと要望したドクター。待合室はクリニックの半分を占めるほどの広さを取った。吹き抜けからの採光もあり、開放的な空間となっている。
一般用、予防用、感染症用の患者さま用と3種類の待合を完備。子どもの転倒等を配慮し、柔らかな床材を使用したこの広い待合室に足を踏み入れると、大きな木の切り株を模したコーナーが目に飛び込んでくる。ミサワホームのデザイナーがアイディアを出したキッズコーナーである。この切り株から伸びるように緑の枝が天井に描かれ、木の葉が天井から吊り下げられている。秋には木の葉が赤く色づく。
建築DATA | ||||
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敷地面積 |
514m2 (155坪) | 延床面積 |
389m2 (117坪) | |
構造・規模 | 鉄骨造 2階建 | 開設 | 2012年 |
小児科は親子で来院することがほとんどのため、診察室は広く取り、デスクもダイニングテーブルのような大きめのものを用意した。患者と正面から対峙して診察に当たれるように、そして圧迫感や緊張感を与えないようにとの院長の配慮である。
受付カウンターは柔らかな印象を与えるために曲線とし、全ての待合室に目が届くように位置や形が工夫されている。
全体の色彩はオレンジ、ベージュ系を中心にして、やわらかさを演出。採光にも充分配慮し、エントランスの吹き抜け、通路の天窓と、たっぷりと光を取り込む工夫がところどころになされている。また、停電時も支障なく治療にあたれるように、屋根の上には太陽光発電装置を設置した。