トップ - HomeClub特集 / 住まいの計画を立てる - 高品質・環境への配慮・安定供給を叶えるミサワホーム・フィンランド工場
2024.12.31
日本で遠い昔から愛され続けている「木」の住まい。見た目はもちろん、手触りにも温もりのある「木」は、強さのバランスにすぐれ、熱を伝えにくく、さらには加工性の高さや軽くて運搬のしやすさ、火や腐朽への強さなど、住まいに適したいくつもの特性を併せ持った建築素材だ。断熱性だけでなく、調湿性も高いため、高温多湿な日本で永く愛されてきたこともうなずける。法隆寺や東大寺の南大門など歴史ある神社仏閣に「木」が使われ、千年単位で維持されている強さや耐久性は、その証ともいえるだろう。また、木材は成長の過程で大量のCO2を内部に固定するため、「カーボンニュートラル」にも貢献。近年では、大規模な公共建築物での木材使用を国が推奨するなど、環境保護の観点からも注目が集まっている。
ミサワホームでは、そんな木材について、調達段階から独自の取り組みを実施。その一つが、フィンランドに自社の製材工場を設立したことだ。国土のほとんどが平地のフィンランドでは、木の北側にもまんべんなく日が当たる自然環境と合わせ、年輪が詰まった正円の木がまっすぐに育つ。そのため、強度のバラつきが少ない高品質の木材を得ることができる。フィンランド工場では、森林の減少防止を目的とした計画植林・計画伐採に基づいて木材を調達し、端材まで100%有効活用。環境負荷を減らしながら、供給の安定化も実現している。こうした取り組みが生み出す多様な価値も、ミサワホームの木質工業化住宅ならではだ。
身近な建築素材である「木」「鉄」「コンクリート」を同じ重さで比較すると、「木」が最もすぐれており、強度に影響する「圧縮」「曲げ」「引っ張り」の特性など、住まいの素材に最適な要素が、バランス良く備わっていることがわかる。
急峻な斜面が多い日本の林野とは異なり、フィンランドはほとんどが平地。短い夏は白夜になるので日照時間も長く、北面にもまんべんなく日が当たることから、木材は芯が幹の真ん中になり、根元からまっすぐ育って住宅建材に適した木材となる。
木の年輪が同心円状に美しく広がるフィンランドの木材。斜面で育った木は「根曲がり」という現象が起きやすいが、国土のほとんどが平地のフィンランドの木は真っすぐに成長する。製材された木は含水率15%以下に人工乾燥した後、日本国内に輸送される。
フィンランドの美しく豊かな自然に囲まれたミサワホーム・フィンランド工場では、1本の丸太を端材や樹皮まで無駄なく使用。樹皮やおがくずは隣接する火力発電所に送られバイオマス燃料として活用され、発電した電力はミッケリ市内の各家庭や施設へ供給される。
木材加工で発生した木材チップは、パルプの原料としてパルプ工場へ供給。樹皮やおがくずは、隣接する火力発電所へパイプラインを通して送られ、バイオマス燃料とし て活用される。ここで発電した電力はミッケリ市の電力の約8~10%※を担っており、こうした取り組みが評価され、「ミッケリ市企業賞」も受賞。
※2019年~2023年実績 MHF調べ
フィンランドは、森林が減少しないように年間の伐採量を生産量以下に制限している環境先進国。フィンランドに自社の製材工場を設けることは、環境への配慮ができることに加え、供給の安定化というメリットももたらしてくれる。
PEFC認証を受けた森林では、1ha当たり5~10本の原木を伐採せずに残すという「森と自然を守るルール」が適用される。その目的は、優生種の保存や環境を大きく変化させないことだが、こうした計画伐採は木材の供給の安定化というメリットにもつながるものだ。