トップ - HomeClub特集 / 住まいのイメージをふくらませる - 先人の知恵と最新の技術が詰まった分譲住宅1⃣埼玉県[エムスマートシティ熊谷桜町]
2025.05.30
全4邸の建物には、「デザインのミサワホーム」と謳われるデザイン力が発揮され、統一感のある植栽や、敷地内のインターロッキング舗装とあいまって、まるでヴィラが並ぶプライベートなリゾート地のような景観だ。「全邸を南面向きとしながら、お互いの窓からの視線が合わないよう、各建物を斜めにずらして配置し、室外機などの視覚ノイズを無くすことにも徹底的に注力しました。分譲地内のどこからでも美しい景観が楽しめます。敷地形状や植栽計画も含め、分譲地全体を一体として考えてデザインしました」(設計担当・小林さん)戸数の多い大型分譲地では、視線の抜けまで配慮して、こうした変化に富んだ建物配置や区画計画をデザインするのは難しい。エムスマートシティ熊谷桜町は、全4邸という規模だからこそ実現できる美しさを備えた分譲住宅だ。
美しさだけでなく、心地よく暮らすための「機能」を兼ね備えている点も、エムスマートシティ熊谷桜町のまちなみの特長だ。「熊谷市では、環境負荷を減らしながら快適に暮らせる住まいを目指すスマートタウン事業を推進しています。エムスマートシティ熊谷桜町は、そのモデルハウスという位置づけです。そのため、断熱性能についても高い目標数値が設定されました」一般的な分譲住宅の開発手順は、できるだけ多くの建物が建てられるように敷地全体を区画割りし、そのあとで各敷地に建物プランを合わせていくというもの。対してエムスマートシティ熊谷桜町では、建物単体に必要な断熱性能や再エネ性能の仕様と、それらを最大限に活かすための区画割りや建物配置、植栽などの検証を同時に行い、すべての要素を一体としてデザインするという開発が行われた。「かつての日本の家屋では、心地よく暮らすために光や風などの自然の力を活用した住まいづくりが行われていました。そうした先人の知恵と、最先端の断熱技術を融合させたのが、このエムスマートシティ熊谷桜町です。一般的な分譲地なら5つに区画割りするところを全4邸に留めているのも、風の流れなどを追求した結果です」環境意識の高い自治体と、住まいのエネルギー技術をリードしてきた住宅メーカーが一緒になって、時代を切り拓く技術を搭載してつくりあげた住まい。これもまた「分譲住宅」でしか手に入れられない価値と言えそうだ。
日本一暑い夏で知られる埼玉県熊谷市は、2020年に官民学金連携による「熊谷スマートシティ推進協議会」を設立。「エムスマートシティ熊谷桜町」は、その事業の一環として誕生した分譲地。開発に際しては、熊谷市とミサワホーム総合研究所の協力のもと、「3D都市モデル」を活用した風環境や熱放射環境評価などの多面的調査を行い、敷地全体のプランニングや建物の目標性能数値などが決定されている。実は熊谷市とミサワホーム総合研究所は、2014年にも「涼を呼ぶまち」をコンセプトとした全73戸の分譲地「エムスマートシティ熊谷」(2019年グッドデザイン賞受賞)を開発し、そこで得た知見や環境データも今回の開発で活用されている。
通風シミュレーション
敷地全体の風の流れをデジタルモデルでシミュレーション。建物一棟一棟について屋根面や壁面の方位ごとの表面温度の違いなども算出。樹木や建物のレイアウト、風速なども変えた複数のモデルで検証を実施した。
植栽や保水性舗装などの外構計画
植栽や保水性舗装を採用した部分も敷地全体の表面温度や通風環境を構成する要素となるため、複数の案を作成してシミュレーション。植栽は位置や本数、舗装部分はレイアウトや面積などの検証が行われた。