繁華街に建つ医療モールのビル5階に診療所を構えていたが、医療モールでは患者さまのプライバシーを守りにくく、一人ひとりの患者さまと丁寧に向き合えないと感じていた。大震災が起きた時に自宅から診療所が離れていると、患者さまを守れるかも心配だった。職場と住まいが一体の方が地域にも密着でき、安心との結論に。「地震にも強く、何かあってもすぐ出向くことができ、対応が可能な住居一体型の耐震構造にしたかった」という。
建築を頼むきっかけは、資料請求をし、届けられた数々のカタログの中で、ミサワホームのカタログが目に留まったことだった。安全性に加えて高級感を醸し出せるミサワホームのデザイン力の高さと木質パネル接着工法の優れた耐震性を知り、選択した。震災による倒半壊ゼロの実績も大きな理由となった。
産婦人科は特に患者さまのプライバシー保護やセキュリティが大切。そこで、玄関の自動ドアは常にロックがかかった状態で、安全に保たれている。予約済みの患者さまは玄関のインターフォンを押すと、院長が確認しロックを解除。丁寧な応対で迎え入れられ、安心して中に入れる。「プライバシーがしっかり守られていて、感じが良い」という患者さまの声も。 待合室は中庭から外光が入るため、プライバシーを守りつつ、明るく開放的な雰囲気を演出。診察を待つ時間の緊張を、緑や光が和らげてくれる。当初中庭を作ることは樹木などの手入れが大変と二の足を踏んでいたが、ミサワホームのデザイナーが中庭の良さを強く提案。雑草が生えないようビーズを敷き詰め、手間のかからない樹木を植えて快適なスペースを実現。院長も大満足だという。
建築DATA | ||||
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敷地面積 |
333m2 (100坪) | 延床面積 |
169m2 (51坪) | |
構造・規模 | 木質パネル構造 2階建 | 開設 | 2013年 |
待合室から廊下を進むと右手に対話しやすい診察室があり、その奥には内診室2室がある。内診台と水を使うシンクまでの距離は、院長の体格や動きから最も作業しやすいよう、ミサワホームのデザイナーが何度も膝を突き合わせて最適な距離を実現。内診台を隠すカーテンもおちついた柄にするなど、患者さまの緊張を和らげている。
「センチ間隔で動線を考えたため、とても使いやすい」と院長にも好評で、患者さまも診察から内診へと移動がスムーズになっている。
他にもトイレは患者さまが検尿コップを置く際にスタッフと顔を合わせることがないよう扉の仕組みを工夫。極力プライバシーが守られるようレイアウトされている。
「典子エンジェルクリニック」は、耐震構造であることに加え、万が一停電になった場合でも太陽光発電システムによりリカバリーできる。
患者さまの安心と快適、医師が働きやすく生活しやすい環境まで、ミサワホームが一つ一つの要望に丁寧に応えた結晶といえるだろう。