interview
絵本の読み聞かせで、
親子の濃密な時間を
フリーアナウンサー
堀井 美香さん
「花咲かじいさんの話を読んで
子どもたちと紙吹雪をまいたりして、
とても、楽しかったな」。
親子の濃密な時間を過ごした
堀井さんに読み聞かせの想いを聞いた
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- 母の読み聞かせは特別な時間
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母は保育士だったんです。とても忙しい人で、話しかけても答えが返ってこないこともあったんですけど、寝る前には絵本を読んでくれました。特別な時間でしたね。それは覚えています。1日1冊までという決まりがあったので「どの1冊を選ぼうかな」というのは、幼いながらも悩んでいました。
悲しい物語が好きでした
幼いころに、お気に入りだったのは悲しい物語でした。持って生まれた感受性というか、感覚というか‥‥二人の子どもを育てましたけど、二人ともまったく違う絵本が好きでしたし、大好きになる絵本ってあるんでしょうね。
思い出の絵本は、今も手元に
私は「やさしいライオン」が大好きで、悲しいお話なんです。ある日、ライオンのブルブルが、ライフルを持った警官隊に追いかけられるページがあるんですけど、私はここが大嫌いだったから、警官隊を赤で塗りつぶしたんですよ。好きな絵本はたくさんありますけど、この絵本の想いが強くて、嫁ぐときに持ってきました。50年近く、そばに置いていますね。
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- お腹のなかの子どもに読み聞かせ
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子どもがお腹にいたころから、読み聞かせをしていました。聞こえると思ったんでしょうね。アナウンサーという職業だったので読むことは日常でしたし、届くと思ったんでしょう。子育てに不安もあったから‥‥、自分なりのコミュニケーションであり、スキンシップだったと思います。
絵本の世界を再現していました
子どもたちに絵本の読み聞かせをするのは、とても楽しかったです。楽しくて、楽しくて、ついついアイデアを乗せてしまっていましたね。花咲かじいさんの絵本を読んだあとに、みんなでテーブルの上から細かくちぎった紙をまいたりしていました。子どもは好きになると毎日やりたくなるから、そのブームは1ヶ月くらい続きましたね。
他には、ウクライナ民話の「てぶくろ」を読んだ後は、紙袋や新聞紙をつなげて大きな手袋をつくって、そこに子どもたちが入って生活していました。
江の島へ冒険の旅へ
息子が幼いころに「じてんしゃに のって」という絵本を読んで、6~7時間かけて二人で江の島へ自転車で行きました。ずっと川沿いを行くんですけど、途中で自転車が通れなかったりして、冒険の旅でしたね。到着したときにはへとへとで、その日は駐輪場に自転車を置いて電車で帰りました(笑)。
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- 物語の主役になる
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絵本のなかのことを体験するというか、眺めているだけではなくて、主役になる‥‥そこに自分の存在がある。そうすると、本と一緒になれるんじゃないですか。その物語を自分事として捉えることができる。英才教育とも思っていなかったですし、想像力を高めようとも思っていなくて、ただ楽しかったし「子どもと一緒に楽しいことをしたかった」というだけだったと思います。
感情の種類を知る
絵本から喜怒哀楽もそうですけど、いろんな感情を知るって大事だと思うんです。私は「喜怒哀楽を激しくわかりやすく伝えたほうがいいかな」と、やりすぎてしまったんですけど(笑)‥‥。「寂しい」とか「悔しい」とか、「助けないと」、「お友だちのことはこう思う」とかって、絵本を通して気づいていく。子どものころに、そんな感情の種類に気づかないでいると、思春期とかに自分で整理できないことがあるのかもしれないです。
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- その子どもが大好きな一冊
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お姑さんが娘に初めてくれたプレゼントが「どうぞのいす」でした。「うさぎちゃんが、ひとつしかない椅子をいろんな人に譲って休んでもらう」というお話です。お姑さんは静かで謙虚で人のことを考えている方で、お姑さんの想いが入っていたんだと思います。娘は、その本が大好きで、やっぱりそういう人になったんです。きっと子どもたちなりに好きな絵本が見えてきて、それを読み続けてあげると大きな影響があるんでしょうね。
お家のいろんな場所で読み聞かせ
読み聞かせには、光が大事だと思います。日光がはいる場所、照明を落として、ランプの灯りで読むとか、その絵本の世界が感じられる環境で読み聞かせるのが楽しかったですね。私は読む場所もいろいろでしたね。リビングやベランダ、テーブルの下‥‥部屋にテントをはって、そのなかだとか。二人の子どもは巣だってしまったんですけど、読み聞かせは、とても楽しかった思い出です。
撮影:ミサワホーム「CENTURY -NEUTRAL MODEL-」オークラランド展示場(東京都世田谷区)
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profile
- 堀井 美香さん
- 1972年秋田県生まれ。フリーアナウンサー。法政大学法学部を卒業後、95年にTBS入社。2022年からフリーに。現在はテレビ番組やCMのナレーションのほか、ジェーン・スーさんとのポッドキャスト「OVER THE SUN」で活躍。長年、続けてきた朗読会にも精力的に取り組んでいる。近著は「一旦、退社。~50歳からの独立日記(大和書房)」、「聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術(徳間書店)」。
関連サイト
堀井 美香 公式サイト