interview
明日から実践できる!
自宅で快適テレワーク
ミサワホーム総合研究所
森元 瑶子さん
「オフィスと住まいでは
そもそもの環境が異なります」
そう教えてくれたのは
テレワークを研究して10年になる森元さん。
明日から実践できる快適テレワークの
アイデアや工夫を聞いた
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- そもそも自宅は集中しづらい環境です
- 住まいは暮らすための場所ですから、オフィスのように仕事向きに設計されていません。「初めは同じように仕事ができる」と思っていても、長い期間、長い時間やってみると、自宅では集中しづらいと感じる方が多いんです。たとえば、洗濯や掃除の仕掛かりや散らかったおもちゃが、目に入ってしまい、そちらに意識が向いてしまいます。そうして、集中が途切れてしまう経験をお持ちではないでしょうか。
オフィスとは、光や音などが異なります
他にも、オフィスでは仕事に適した照度や色温度の照明になっていますが、自宅は必ずしもそうではありません。自然光で仕事をしていて、夕方になり気づくと暗くなっていて、目に負担がかかっていることがあります。音については、洗濯機やテレビの音や換気扇の機械音が気になってしまったり‥‥。足元が冷えたりするなどの温熱環境の悩みなどと、小さなストレスが溜まりがちです。
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- テレワークコーナーを設けましょう
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テレワークを取り入れた働き方にシフトされている方は、専用の場所を設けることをお勧めします。家事から離れて、壁に向かえる場所が集中できるので最適です。WEB会議が多いのであれば、壁を背景にできる場所にする、もしくはロールスクリーンや可動本棚で間仕切りする。そうすると、本人も参加者も会議に集中しやすくなります。
小さいお子様がいらっしゃる場合
私は3歳と1歳の子どもと暮らしていますが、子どもは親が使っているノートパソコンや書類に興味を持ち、ついつい触ってしまいがちです。ふと落として壊してしまうかもしれません。そういうお仕事ツールは、お子様の手の届かない場所で管理するのがいいですね。仕事内容によっては、施錠管理する必要もあります。
最新の機器を積極的に取り入れて
私は、ノイズキャンセリング機能のワイヤレスイヤホンを使っています。これを使うと、雑多な家電の機械音が消えて、仕事に集中しやすくなります。また、パソコンから離れていてもWEB会議の音声がクリアになりますから、子どもの対応が必要な時にも会議の声を聞きながら参加できます。こういった機器を使うことで、テレワークは格段に快適になります。
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- 住まいならではのABWを
- 先進的なオフィス設計では、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)という考え方を採り入れています。ABWは、仕事内容に合わせて最適な場所を選ぶワークスタイルです。在宅型テレワークでは、ひとつの場所でずっと仕事をしている方が多いようです。1日の仕事内容を分解して、その考えを自宅で採り入れてみることをお勧めします。たとえば、「集中」「創造」「ながら」という3つのワークスタイルで切り分けてみてはいかがでしょうか。
それぞれの仕事内容に合った場所
「集中ワーク」は家事が見えないように壁に向かえて、気になる音が聞こえづらい場所、可能であれば個室が望ましいです。「創造ワーク」はベランダなどのリラックスできる場所。「ながらワーク」はダイニングテーブルといったように、それぞれの内容に合った場所を選ぶのです。仕事には、黙々と作業を進めいく「集中ワーク」だけでなく、発想を膨らませる「創造ワーク」があります。最適な場所でワークすることで、質と効率を上げていくのです。ずっと同じ場所では飽きてしまうので、気持ちを切り替えるためにも有効です。
L字スタイルのデスク
限られた空間で仕事のモードを切り替えるために、L字のデスクというアイデアを取り入れてみてはいかがでしょうか。ひとつのデスクで一面は壁に、一面を窓にすることで、座る向きを変えると視覚情報と共に「集中ワーク」と「創造ワーク」の切り替えが可能になります。
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- 今後の住まいに必要な空間
- テレワークの増加やお子さんの夏休み、台風・積雪といった悪天候などで、家族の在宅時間が長くなることが考えられます。今後の住まいには、家族が同時に仕事や勉強ができる場所が必要になってきます。たとえば、ミサワホームが提案している、親子の学び空間「ホームコモンズ」は、生活と区切られた専用空間です。他にも、2.5畳の在宅ワーク空間「ミニラボ」やLDK内のカウンターデスクのプランを参考にしていただければと思います。
リフレッシュスペース
テレワークで通勤がなくなり、「運動不足や気持ちの切り替えができない」という声をよく聞きます。ヨガやストレッチのような身体を動かす場所やリフレッシュできる空間が望まれてくるでしょう。オフィスのリフレッシュスペースのように、家事や仕事から切り離されたリフレッシュスペースが重要になってきます。
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- 家族で、家時間を楽しんでいます
- 今は、私は夫婦ともにテレワークが可能です。ふたりでタイムスケジュールや家事分担を決めて、仕事と子育てと家事を両立しています。新しいレシピで料理することが増えましたし、早い時間に家族で食卓を囲むことができています。
オフィスよりも快適な仕事環境に
テレワークに移行することで、時間にゆとりができれば、心にゆとりができます。子育て中は、ずっと走り続けている感じですが、「テレワークだから乗り越えられた」と思うことが数多くありました。テレワークが続く方は、「オフィスよりも快適な仕事環境を整える」という気持ちで、自宅を考えてみてはいかがでしょうか。仕事環境が快適になれば、日々の暮らしも充実していくと思います。
撮影:ミサワホーム「CENTURY Primore」浜田山展示場
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profile
- 森元瑶子さん
- (株)ミサワホーム総合研究所 フューチャーデザインセンター 市場企画室主任研究員。2010年からテレワークをはじめとした住宅の調査・研究を行う。先進オフィスの調査やテレワーカーへのインタビューを行いながら、ミサワホームの在宅型テレワーク空間「ミニラボ」をはじめとしたテレワーク住宅のコンセプト提案を行なってきた。
関連サイト
在宅ワーク空間「ミニラボ」