interview
座りすぎに要注意!
テレワーク中は
正しく座る、そして立つ
仲野整體東京青山院長
仲野 孝明さん
「座りすぎは、さまざまな不調を招きます。
正しい姿勢で座ることや
立つ時間を増やすことが大事なんです」
姿勢のスペシャリストである仲野さんに
テレワークにおける姿勢について伺った
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- 座る時間が長すぎます
- テレワークをはじめてから、腰や肩の痛みに悩まれる方が増えています。日常生活は、「立つ・座る・横になる」の3つの動作です。悩んでいる方は自宅に居続けることで、一日の大半を座る時間が占めていました。ある方は、立つのはコンビニに行くときくらいで、座っているのが約16時間‥‥、座りすぎです。それでは、体が痛んでしまいます。
猫背が続くと、危険です
背骨は26の小さい骨が積み重なった繊細な構造です。横から見ると、S字のカーブを描いているのが背骨の正常な姿です。長い間、背中を丸めて猫背で座っていると、その形が崩れて腰に負担がかかります。それだけでなく、次第に背骨の小さな骨が傾き、動きづらくなり、そして動かなくなってしまうのです。
悪い姿勢は万病の元です
それに背骨は、脳と身体の各部位をつなぐ神経の通り道です。姿勢が悪いと背骨が歪み、神経がつぶされてしまい、脳からの大切な情報や脳への情報が伝わらなくなってしまいます。その結果、足のむくみや指先のしびれ、内臓や目・鼻・口などのさまざまな不調となって現れてきます。
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- 人間の体は、立って歩くための構造なんです
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人類は、700万年もの長い時間を立って歩いていました。だから、体の構造は歩くように設計されていて、座ることに向いていません。骨の構造を見ても、骨盤が逆三角形で、その先端の座骨はふたつの丸です。座ると不安定なんですね。
正しい姿勢で座りましよう
お尻の下に手を入れると、左右に硬い丸い骨がふたつあります。それが座骨です。正しい姿勢は、椅子に深く座って、椅子の座面に座骨を垂直に突き刺すイメージ。それで、背骨をまっすぐに保ち続けることができます。座骨を倒して、浅く座ると楽に感じるかもしれませんが、背骨が曲がってしまい、腰や背骨への負担が増すんです。
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- パソコンのセッティングが重要です
- 目線の高さにモニターの中心を設置してください。そうすれば首と背筋が伸びますね。人間の頭は体重の約10%なので、とても重いボウリングのボールを載せているようなもの。それなのに、ずっと目線を下げてモニターを見ていると首に負担がかかり、肩こりがひどくなります。ノートパソコンも同様です。キーボードは外付けにして、同様のセッティングにするのがいいですね。
マウスとキーボードは手前に
もうひとつ大事なのは、マウスとキーボードの位置です。できるだけ手前に置いてください。肘が肩の真下にきて、自然と胸が開きます。キーボードなどが中央から奥にあると前かがみになり、肩や腰の痛みが出てしまいます。
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- 立つ時間を増やしましょう
- 座ることは体に負担が大きく、疲れや不調の元です。だから、立つ時間を増やしてください。理想は、「立つ・座る・横になる」がそれぞれ8時間ずつです。私は長年スタンディングデスクを使っていますが、立つと集中できます。立ちながら寝る人はいませんが、座りながら寝てしまうことはあります(笑)。人間は立つとスイッチが入ります。
続ければ慣れてきます
テレビ会議や資料の読み込みは立って行うといいですね。テレビは座って観ていると思いますが、立って観る。そうやって8時間立つことを目標にしてください。続けていれば、いつのまにか筋肉が鍛えられて、立つことに慣れてきます。カウンターに寄りかかったり、足をステップに置いたりと、いろいろな立ち方をして動くといいですね。言葉通り、人間は動物なので、動いているのが正しい姿です。
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- 一時間に一度は背伸び
- 私が考える最高の健康法は、背伸びです。私たちの体は、背伸びをすると体の各部位が正しい位置におさまって、正しい姿勢になるようにできています。座っていても、立っていても、体にひずみが出てきます。だから、一時間に一度は、背伸びで正しい姿勢にリセットしてほしいんです。
ゆっくり30秒くらいです
両手を胸の前で組む。手の甲を見ながら、手と顔を真上に上げる。顔を正面に戻して、体を上下に引き伸ばす。両手を左右から大きく下ろす。これで、正しい姿勢で仕事を始められます。
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- 姿勢から考える理想の住まい
- 立ったままパソコンやタブレットを使える場所を、いくつか設けてほしいですね。ある患者さんはキッチン内にスタンディングデスクを設けることで、腰の痛みが改善されて、効率的になったと満足されていました。それと、ぶらさがれる場所があるといい。ぶらさがることで、体をまっすぐにすることができます。他には、大の字で横になれる場所や背中をつけられる壁があれば、背骨を伸ばすことができます。
人生100年時代だからこそ、正しい姿勢を
すでに腰痛や肩こりは、日本の国民病です。座る時間が増えることにより、さらに悪化することが考えられます。人生100年時代を健康に生きていくためにも、正しい姿勢で座り、立つ時間を増やすことをお勧めします。
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profile
- 仲野 孝明さん
- 仲野整體東京青山院長。姿勢治療家®。大正15年創業、二度の褒章受章と一度の勲章受勲を誇る仲野整體の4代目に生まれる。これまで、のべ18万人以上の患者を治療。単に痛みを治すのではなく、健康で高いパフォーマンスができる習慣を身に着けてもらうことを目指している。世界一苛酷といわれるサハラ砂漠マラソン250km挑戦完走など自身の体を使って姿勢の可能性を探究。著書には、「長く健康でいたければ、『背伸び』をしなさい」サンマーク出版、「一生疲れない『姿勢』の作り方」実業之日本社などがある。
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