「リビング・モダニティ展」
世界のモダニズム住宅を一気に味わう

 現在、六本木の国立新美術館で開催中の「リビング・モダニティ 住まいの実験1920s―1970s」の見どころと、モダニズム住宅についてご紹介します。(絵:全て本人)

ミサワホーム総合研究所
フューチャーデザインセンター
建築・まちづくりデザイン研究室
主幹研究員 大谷宗之

本展のみどころ

 建築は美術品や工芸品と違って、鑑賞のためには原則として現地を訪れなくてはなりませんが、モダニズム住宅のマスターピース14邸が一堂に会した本展は、世界中のモダニズム住宅を一気に味わうことのできる絶好のチャンスと言えます。
 建築模型を中心に、通常、目にすることのできないオリジナル図面や映像の数々は、建築の関係者はもとより、建築の知識をお持ちでない方々にも十分楽しめる構成となっています。
 モダニズム住宅の生い立ちならびに、展覧会の鑑賞法を紐解きながら、モダニズム住宅の世界へとご案内します。

モダニズム住宅を生んだ「鉄」の量産化

 19世紀のヨーロッパでは、産業革命によって「鉄」の大量生産が可能となります。
 当時、ヨーロッパの建築は、石材やレンガを積み重ねた「組積造」と呼ばれる構法が一般的で、出入り口や窓を広く取ることが困難でしたが、鉄骨や鉄筋コンクリートといった「鉄」を使用した新たな構法の発明により、細い柱や梁で屋根を支えることが可能となります。
 こうして、重厚な壁を必要としない画期的な建築が誕生しました。あたかも屋根が宙に浮かぶように見える新しい建築の革新性は、当時の建築家にとって、蒸気機関車がリニアモーターカーに取って代わるほどの衝撃だったことでしょう。

「壁」の再定義から始まる新しい住宅のカタチ

 分厚い壁で囲まれて暗い室内だったそれまでの住宅に対して、ほぼ床と屋根だけで建築が可能となったことは、当時の建築家に発想の大転換を与えます。
 それは構造から解き放たれて、新たな建築空間を創り出す「壁」に、どのような機能と役割を与えるかということでした。
 モダニズム住宅とは、建築家が、新しい「壁」に対してどのように向き合ってきたか、その挑戦と実験の痕跡であるといえます。

モダニズム建築3つの鑑賞ポイント

 本展をより楽しんでいただくための鑑賞法をまとめました。建築家の背中越しに、モダニズム住宅の軌跡を辿ってみましょう。

1つ目のポイント
「窓」のデザイン

自由にデザインできる窓を、建築家はいかに使いこなしているでしょうか。室内と屋外の関係に注目してください。

2つ目のポイント
「壁」の配置

構造から解放された新しい壁による住宅を、どのように設計しているでしょう。そこに建築家の個性が見えてきます。

3つ目のポイント
建っている「場所」

開放的な窓と自由な壁を獲得したモダニズム住宅は、同時に住まう方のプライバシーを守る必要が生じました。建築の建つ周囲の環境に注目してみましょう。

          窓            壁             場所

 ◇ ◇
 誕生してからおよそ100年となるモダニズム住宅は、現代住宅の一つのスタンダードとなりました。技術革新の進む今、新しい建築スタイルも生まれています。
 暮らしの拠り所である住宅の将来について、この機会に考えてみてはいかがでしょう。

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