「資産活用の家族会議」ヒント集
増税時代に備えるために、家族で資産のことを考えましょう。
「議題」のヒントを集めてみました。
お盆の時期、家族が集まるタイミングで
仮に相続対策の一環として賃貸住宅を建てることになった場合、2018年の秋頃までには住宅会社等と具体的な打ち合わせを開始しなくては、消費税増税までに間に合わない可能性があります。そう考えると、資産全体のことまで踏まえて家族で検討するなら、2018年の夏頃から始めなくてはなりません。最適なタイミングは、ご家族が自然と集まりやすいお盆の時期ではないでしょうか。
これから資産をどのように継承していくのかなど、相続に関することを含めて話し合ってみましょう。とはいえ、どのようなことから話し合えば良いのか、どのように進めれば良いのかはデリケートな問題です。もちろん議題はご家族によって様々ですが、ここでは一般的な検討の流れをご紹介します。
進め方の基本は、①資産の把握②相続対策が必要かどうかの判断③老後の資金計画④相続対策⑤納税対策 の5つになります。
資産の把握をしっかり行うことが必要。
まずどれくらいの資産があるのかをきちんと整理してみます。預貯金などの現金、株や投資信託、保険などの金融資産、美術品などの資産、実家の土地建物や、その他所有する不動産などの評価額がどれくらいあるのかを書き出してみましょう。知人に貸しているお金は無いか、また住宅ローンやアパートローンなどの負債も把握します。日本人の資産の半分近くが、価値が変動する土地・建物などの不動産です。定期的に現在の評価額をきちんと把握しておきましょう。
老後に必要な資金を確保できるかを確認。
全体の資産を把握したら、まずは親世帯に今後どれくらいの資金が必要なのかを考えておきましょう。ゆとりある老後のためには、公的年金の収入だけでは足りないと言われています。また実家が老朽化している場合などは、建て替えやリフォームなどの資金が必要なケースも多くあります。そのための資金を、どう捻出するのかを考えることが大切です。
家族信託で両親の意思決定能力が無くなった時に備える。
認知症などにより、判断能力が低下してしまうと、多くの問題が発生します。例えば相続対策のために土地を活用しようとしても、所有している親に判断能力が無い場合は、なにもできなくなってしまいます。家族信託は、あらかじめ元気なうちに子などと信託契約を結び、判断能力が低下した場合、親のかわりに子が管理や運用をできるようにするシステムです。
今、どんなに元気な親でも、いつ判断能力が無くなるかは解りません。長寿の国だからこそ、そのリスクは常にあると考えてもよいでしょう。ご家族で集まった時にぜひ、家族信託の活用も相談しておきましょう。
親の資産を増やさない活用を考える。
相続税評価額を抑えるために、賃貸住宅を建てることは大きなメリットがありますが、賃料収入を親が得ることで、財産が増えてしまうことも考えられます。その対策として、建物を贈与し、名義を子にするなど、様々な工夫をすることで、収入を移転することが可能になります。
賃貸経営の法人化もひとつの方法。
賃貸経営の事業規模が大きい場合は、法人化も検討しましょう。現在の日本では、高額所得の個人よりも、法人税の方が負担が少ないという現状があり、賃貸経営を法人化することで、税率を下げることが可能になります。ただし税務処理なども複雑になり、税理士の費用などもかかりますので、ある程度の規模、税額だけの節税だと600万円前後、税理士費用等を考慮すると1000万円前後収入がある規模でなければメリットが無くなりますので、専門家に相談しましょう。
相続時精算課税制度の活用も考える。
相続税評価額を下げるひとつの選択肢として、相続時精算課税制度があります。2500万円までの贈与は非課税(相続時に清算)なので、例えば経営している賃貸住宅の建物だけ生前贈与し、その収入を子に移行することで相続財産を少なくすることができます。また、住宅資金の贈与枠などを使用して子の住宅に資産を移転することで、相続財産を減らすことも可能です。
家族会議にプロのアドバイスをもらうことも大切。
ご家族で集まって、相続や資産活用の会議を行なうとき、第三者であるプロのアドバイスがあるとスムーズになります。税理士やファイナンシャルプランナーなど、相続や資産活用に詳しいプロに何が問題なのかを相談し、いくつかの解決方法を提示してもらうことで、家族で検討することが可能になります。まずは信頼できるプロをパートナーにしましょう。