特別養護老人ホームを運営している社会福祉法人が新たに取り組んだのは「サービス付き高齢者向け住宅」でした。常に入居待機者がいる状況のなか、仮に空きがでても、入居は原則要介護3以上で介護の必要性がより高い方を優先するため、入居希望になかなか対応できないのが現状でした。こうした状況から、待機者、特に地域の高齢者のために、平成23年10月に創設された「サービス付き高齢者向け住宅」の整備を決めました。入居者が安心できるように、基準となる見守りや生活相談に加えて、24時間の人員配置、希望や必要に応じて、食事サービス、医療・介護サービスなどを提供できる体制を構築。地域貢献を目的とし、入居者の利用料金などの経済的な負担へも配慮した、社会福祉法人ならではのな取り組みとしました。
建築DATA | ||||
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敷地面積 |
3778m2 (1142坪) | 延床面積 |
999m2 (302坪) | |
構造・規模 | 木造 平屋建 | 開設 | 2012年 |
中庭を設けることで居室は全室南向きとなり、食堂も明るく開放的な空間となりました。事務所からは食堂、廊下、玄関、そして併設デイサービスの機能訓練室を一望することが可能で、緊急時の対応もし、やすく普段の作業や移動も少なくなるよう、スタッフ動線も徹底してこだわりました。事務所、宿直室とは別にスタッフルームを設け、スタッフが働きやすい環境を整えました。中庭はインターロッキング仕上げにし、手入れがしやすいようにしました。左右障害に対応できるように左右対称の居室を設定。
エリアを区切ぎる建具を共用部に設置し、認知症の方への対応が出来るように工夫しています。尿失禁に対応するため風呂とは別に、食堂の近くにシャワー室を設置。特養やケアハウス運営の経験を活かした工夫も随所に採用し、暮らしやすさと働きやすが融合した住宅となりました。