「杜の都」仙台市において、シニアパンションは完成を直後に控えていたまさにその時、未曾有の大災害である東日本大震災が発生。
一時は開設自体が危ぶまれましたが、比較的震度の大きかった同地域においても、本建物はクロスのはがれ一つなく、建物の高い耐震性を実証しました。
入居希望者向けに開催した内覧会には、そのタイミングが震災直後であったこともあり、270件を超える反響がありました。特に日常生活に漠然とした不安を抱える 高齢者にとって、ある意味「安心・安全な生活」という切実な要望が具現化したモデルであったともいえます。
建築DATA | ||||
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敷地面積 |
705m2 (213坪) | 延床面積 |
635m2 (192坪) | |
構造・規模 | 木質パネル構造 2階建 | 開設 | 2011年 |
元々材木置き場であったこの場所で、活用方法を考えていくにあたってたどり着いたのは、高齢者向け賃貸住宅という選択肢でした。折好く国土交通省による「高齢者等居住安定化推進事業」補助事業の募集があり、本物件は平成22年度の事業として採択されました。補助金を受けた結果として建設費を抑えられただけではなく、利用者負担も抑える事が可能となり、その為より多くの高齢者に対応できる住まいが実現しました。
「利用負担が少なく、明るい清潔なバリアフリー住宅で心身ともに健康の維持または回復を支援する」をコンセプトとし、併せて近隣の介護事業者と連携。介護のサービスを提供する事によって、更なる安心を訴求しました。
特筆すべきは、利用負担が少なくてすむように、単純にコストダウンを図っているわけではなく、各部屋に浴室およびキッチンと必要十分な設備を備えており、全体としても必要なもの、無駄なものは明確に区分し、生活が味気ないものにならないよう工夫がされています。