interview
幼い子どもを守る
保育防災の大事な話
保育防災コンサルタント
藤實 智子さん
幼い子どもと暮らしていると、
万が一の災害はとても不安。
子どもたちを守るために保育防災の
活動を続けている藤實さんに、
家庭でやってほしいことを聞いた
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- 保育の場を通しての防災教育
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私は東京消防庁で災害予防を担当していて、その後に保育士をしてきました。長く保育士を続けてきて、保育の現場の人手不足や業務増などつらい状況を見てきました。それで、保育士のみなさんをサポートしたいと思い「保育の寺子屋」を立ち上げたんです。そうしたなかで「防災について学びたい」という声が多くて、今では保育防災をメインに活動しています。
保育防災の研修を実施
保育士のみなさんは「今の避難方法で、本当に子どもたちを守れるのだろうか」など、防災に関して多くの不安や疑問を感じています。保育園では毎月の避難訓練が義務付けられていますが、そのための知識やノウハウが不足しがちです。最近では、毎年2000人ほどの保育士さんをはじめ保護者や子どもたちに保育防災についてお話をさせていただいています。テーマは、避難訓練のやり方や防災のアップデート、子どもへの防災教育など‥‥みなさんには、とても熱心に聞いていただいています。
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- たとえば災害用伝言ダイヤル
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保育士さんや親御さんに必ずお話しするのが、災害用伝言ダイヤルです。東日本大震災の発生時、親御さんたちは必死で保育園に‥‥子どもがいる保育園が無事かどうかわからずに、その知るすべを持たずに迎えに来ていました。最後に来たママは都心からパンプスで9時間ほど歩き続けて到着しました。しかし、災害用伝言ダイヤル171であれば、連絡は取れます。災害時には緊急電話を優先にするために、 一般電話がつながらないだけなので、 171はつながります。
名刺サイズの紙に171
保育園は、171に状況や避難先を登録する、そして親御さんたちはそれを使って確認することで安心できますし、適切な行動を選ぶことができます。名刺サイズの紙に、171の使い方と、保育園の電話番号や避難場所を書いて渡して、お財布などに入れるようにお願いしています。スマホはバッテリー切れになる可能性もありますから、アナログで持っておくのが確実です。
みんなのアイデアを活かしながら
いざという時のためには、事前に体験しておくことが大事です※。ある保育士さんはそのために保育園で171にクイズを録音し、実際に使わないと答えられない仕組みにしたんです。お迎えの時に正解するとポケットティッシュをプレゼント。そうすると子どもたちが、パパやママ、祖父母を応援するので、参加率がぐんと高まりました。みんなのアイデアを活かしながら、保育防災を広めています。
※災害用伝言ダイヤルでは、体験利用日が設けられています。保育園によっては、その体験利用日に親御さんたちと事前の体験利用をしています。
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- 新しい防災の合言葉
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災害には、いろいろな状況があります。その災害に対処するために、子どもたちが「とるべき行動」を伝えていきたい。そう考えて、保育士さんたちと、新しい防災の合言葉「きみとかに」をつくりました。き‥「きく」先生や大人の話をしっかり聞こう。み‥「みる」周りの様子をよく見よう。と‥「とまる」慌てずに立ち止まろう。か‥「かんがえる」自分でよく考えよう。に‥「にげる」危険からすぐ逃げよう。
重要なのは「聞くこと」です
子どもたちにとって、いちばん重要なのは「聞くこと」です。「そっちに行くとクルマが来るから危ない」など、パパやママの話を聞くことで身を守ることができています。まだ「クルマが来たら、どのような危険があるのか」を具体的に想像しづらい子どもたちにとって、大人の言葉はとても大事です。
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※「きみとかに」のホームページ。紙芝居や手遊び歌などダウンロードできます
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- 家庭で、防災意識を育む
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子どものころから防災に親しんでおくと、防災が当たり前になると思います。最近は、防災をテーマにした絵本が発売されています。たとえば「どうぶつポーズで あそボウサイ」では、災害の状況に合わせて、いろいろな動物になって対応します。たとえば、地震で揺れたら、うさぎになって机を見つける、ねこに変身して、すばやく机の下にもぐる‥‥。これだと文字を読めなくても、動きをまねっこして楽しめます。
親子で真っ暗を体験してみる
最近の子どもたちは「やってはダメなこと」が多くて、危ない行動を避けて育っています。だから、なにか起きると恐怖心が強くなってしまいますね。「安全ですよ」と言っても、起震車に乗りたがらない小学生も多いんです。生まれた時から、住まいのなかも外も灯りがある環境です。真っ暗のなかで過ごす経験は少ないので、体験しておくと、いざというときに慌てなくていいですね。
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藤實さんおすすめの防災絵本 左から「はなちゃんとひなんくんれん/ものえ まいこ(著)(河北新報出版センター)」、「どうぶつポーズで あそボウサイ/かなざわ まゆこ(金澤 麻由子) (著, イラスト), こが りょうこ(古賀 涼子) (監修)(KADOKAWA)」、「ぷーたのぼうさい/月ヶ瀬恭子 (著), すみもとななみ (著)(チャイルド社)」
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- 冷蔵庫は備蓄庫です
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冷蔵庫だけは「なにがなんでも倒れないようにしてください」とお話ししています。冷蔵庫さえあれば、一週間くらいは生きていけると思うんです。冷凍食品はバリエーションが豊富ですし、自然解凍で食べられるものもあります。わが家は収納が少ないから、水はファスナー付きのプラスチック・バッグに入れて、災害時の備蓄として冷凍庫の隙間に入れています。
自宅の避難部屋を決めておく
幼い子どもと暮らしているのであれば、そのエリアが安全であれば在宅避難がおすすめです。でも、ご自宅のすべてのモノを転倒防止したり、モノを飾らないというのは難しいと思います。だから、住まいのなかで安全安心な場所を決めておくのがいいですね。リビングやリビングの一部もしくは寝室‥‥「ここに避難しよう」と決めておくのです。幼い子どもと暮らしていると、万が一の災害はとても不安だと思います。ぜひ、子どもと一緒に防災について考えてみてください。
撮影:「CENTURY Primore」二俣川展示場(神奈川県横浜市)
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profile

- 藤實 智子さん
- 女性消防官(防火・災害予防にも尽力)を経て、保育士に。私立の認可保育園園長、小規模認可保育園の運営などの経験から「子どもたちの命を守る保育士たち」に寄り添いサポートする事業として、2019年に一般社団法人保育の寺子屋を立ち上げる。保育防災コンサルタント®として保育防災ハンドブックの制作、保育士向けの防災講座を行う。「保育防災スペシャリスト認定講座」を開講し、保育現場の防災力を高める専門的な学びを広めている。
関連サイト
保育の寺子屋公式サイト











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