interview
未知の扉を開く、
南極クラスへようこそ
ミサワホーム総合研究所(南極先生)
堀川 秀昭さん
ミサワホームグループ社員の
南極地域観測隊員経験者による
教育支援プログラム「南極クラス」
未知の扉を開き、ワクワクが広がる、
その内容を堀川さんにインタビュー
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- 37歳で南極地域観測隊員に
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ミサワホームグループで大工をしていました。37歳のときに「南極で仕事をしないか」と1本の電話があったんです。最初は、よく理解できなくて断りましたね。その夜、家族に話してみると「おもしろそうじゃない!とりあえず話を聞いてきたら」と言われて、納得。南極地域観測隊員のOBやいろんな方に話を聞いているうちに、だんだんと興味が出てきて「南極に行ったら、どんなふうに変わるのか」と思い、立候補しました。
2回の越冬隊と夏隊を経験しました
国立極地研究所に出向して、2011年と2021年の越冬隊(1年滞在)、2023年の夏隊(2ヵ月滞在)に参加しました。越冬隊の主なミッションは、60棟近くある昭和基地の維持管理、メンテナンスです。それに加えて、状況に応じてのプロジェクトがあります。はじめての越冬隊のときには、日本の観測基地としては最南端の「ドームふじ基地」で、 天文観測架台建設工事に携わりました。
白と青だけ、まさに南極でした
「ドームふじ基地」は、昭和基地から約1,000kmの距離です。仲間と交代で雪上車を運転して、時速5~10kmくらいで進んでいきました。ブリザードは強烈でしたし、雪面はでこぼこ。それでも、はじめての世界は楽しかったですね。3週間ほどで到着した目的地の標高は3,800m。見渡す限り、雪と空だけで白と青の世界です。まさに南極、まさに未知の世界でした。ここに取り残されたら、確実に生きられないと思いました。
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「ドームふじ観測拠点Ⅱ」、2023年12月撮影。この日は少し雲が出ていました ※写真提供:国立極地研究所
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- 約30人で、南極の冬を越す
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観測隊は総勢80~100人ほどですが、越冬隊は30人程度です。いろいろな分野の専門家が集まって、専門外もサポートしあって、仕事も生活も築きあげていきます。たとえば、数日ブリザードが続くと、建物が埋まるくらい雪が積もる。それを手が空いている仲間が話しあって、分担して、解決していく。仲間と協力してなんとかする。なんとかなるんです。僕の人生観が大きく変わりましたね。小さなことは気にせず、おおらかに生きるようになりました。
仲間と生活をつくっていく
特に越冬隊は、仲間と生活をつくることも重要です。たとえば、新聞係、イベント係、スポーツ係、バー係、農協係、漁協係、理髪係、喫茶係、図書・教養係などいろいろ。新聞係は、毎日発行するので、記事のネタを集めるのが大変です。些細なことでも大げさにしたりして(笑)、たとえば「プチトマト1個争奪・あみだくじ抽選会!」を開催するなどしていました。懐かしい思い出です。
コミュニケーションが問われる場所
逃げも隠れもできない場所で、大切なのは「コミュニケーション」でした。それが絶対条件。人間関係が崩れると、一気にバラバラになってしまう。相手の言葉を受け入れて、自分の言葉を尊重してもらう。「その気持ちはわかるけど、こっちの気持ちはこうなんだ」とコミュニケーションしていくと、いい関係が生まれます。当たり前のことですけど、それが「ちゃんとできるかどうか」が問われましたね。
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- 南極クラスを続けています
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僕の経験を「南極クラス※」で、お話ししています。対象の多くは小学生ですが、幼稚園児から中高生、大人まで幅広いですね。社会人向けの「南極体験講演会」もあります。南極での活動を伝えることで、好奇心を刺激したい。そして、知らない世界へ挑むおもしろさや価値を知ってほしい。そう思って、続けています。
※ミサワホームは、これまで南極にて延べ37棟※①の建物を供給してきました。南極地域観測隊には、ミサワホームグループから延べ31人※②が参加。隊員による教育支援プログラム「南極クラス」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地支援として、子どもたちに夢や希望を考えるきっかけを与えたいと願い、同年9月29日に仙台の小学校でスタート。2026年8月末までの累計で、2,850件 270,703人に伝えてきました。 ※①②いずれも2026年9月時点。建物は建設中の夏期隊員宿舎を含む。
子どもたちが興味を持ちやすいように
空中に撒いたお湯が一瞬で凍るお湯花火や息を吐いても白くならない実験、凍ったバナナで釘を打つ実験などの話を交えて、子どもたちが興味を持ちやすいように工夫しています。他には、すごく美しい天の川銀河やオーロラ、ブリザードなどの大自然やペンギンの話‥‥「昔の南極に恐竜がいたかどうか?」をクイズにして楽しんでもらっていますね。
サイエンスの要素や仲間の大切さも
授業ですので、サイエンスの要素を盛り込みます。先ほどの「ドームふじ基地」では、南極大陸の氷床を深く掘り進めて、昔の氷‥‥アイスコアを取り出しています。その氷を通して、過去の地球の環境や気象状況を調べています。今までに72万年前までの氷を掘り出していますね。そこから未来の気候を予測することを説明しています。そして、越冬隊は1部門に専門家はひとりが基本です。すべてにおいて仲間と協力して、ミッションを達成することが必要です。人と人が支えあう大切さを伝えています。
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左上:昭和基地から見る、天の川銀河 右上:昭和基地でのブリザード後の地吹雪 左下:お湯花火の実験 右下:息が白くならない実験 ※写真提供:国立極地研究所
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- 好奇心を大切にしてほしい
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僕は南極に興味を持って、一歩踏み出すことで、人生が大きく変わりました。だから、「南極クラス」の最後に必ず同じ言葉をメッセージしています。「なにかに興味を持ったら、ぜひチャレンジしてほしい。そうすることで、新しい世界が広がっていきます。そのためには、好奇心を大切にしてほしい。未知の扉を開くのは、ワクワクする気持ち‥‥好奇心です」。
夢を持つ楽しさを伝えたい
僕は小学生のころ、夢がない子どもでした。でも、南極という地で人生観が変わり、夢ができました。もう一度、南極観測隊に参加して、大工として腕を振るいたい、天の川銀河やオーロラを眺めたい。国内では南極で培った経験を活かして、大工の働きやすさを高めていきたい。そして、「南極クラス」を続けて、子どもたちに夢を持つ楽しさを伝えていきたいですね。ぜひ、「南極クラス」でお会いしましょう。
撮影:ミサワホーム「Green Infrastructure Model(グリーン・インフラストラクチャー・モデル)」 ミサワパーク東京(東京都杉並区高井戸)
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2012年4月、第53次南極地域観測隊 越冬隊のときの堀川さん ※写真提供:国立極地研究所











