interview
かわいい子には
ぜひ、お手伝いを
ミサワホーム キッズデザイン担当
大内 綾子さん
キッズデザイン賞を創設以来、
連続受賞しているミサワホーム。
その中心的役割を担っているのが、大内綾子さん。
ママとして、ふたりの姉妹を育てながら、
さまざまな子育て住宅を研究開発してきた。
これからの時代を考えた時に、どんな子育てが大切なのか、
そのための住まいは、どういうカタチがよいのだろうか。
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- これからの子育てを考えて、大切なこと
- 最近、暮らしを楽しむことが大切になっていると思います。日々を楽しくすることで、人生が豊かになる。仕事も決められたことをこなすより、自ら考えて動く。クリエイティブな力が必要になってきました。そんな時代を考えた時に、お手伝いを通して学ぶことが、たくさんあります。
子どもはお手伝いをしたい
子どもに家事を教えることは、親にとっては大変なものです。「親がやった方が早いから」「教えるのが面倒だから」と、子どもにお手伝いさせない家庭も多くなっています。しかし、子どもはまず親のやることに興味を持ち、親を真似ることから、少しずつ自分ができることを増やしていきます。子どもはお手伝いがしたいのです。
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- 家事のお手伝いが、子どもの能力を育む
- 国語や算数などの必要な知識は学校で身につけられますが、家事は家で覚えるしかありません。家事を通して、ダンドリや工夫する力、暮らしを楽しむ力を身につけます。たとえば、身の回りを整える片付けが身につけば、気持ちよく暮らせるようになりますし、生活の無駄を減らせます。親も子も背伸びせず、お箸やコップを配膳したり、自分の洗濯物をしまったり、まずは簡単なお手伝いから始めるといいでしょう。
子どもたちの得意料理は野菜炒め
私の子どもたちは2歳から、お手伝いを始めました。子ども用の包丁で野菜を切ったり、お片付けをしたり。最近の得意料理は、野菜炒めです。野菜炒めは、野菜を選ぶ楽しみがありますし、カラフルで楽しいようです。どんな野菜の組み合わせがいいのか、味付けは?火加減は?いろいろ想像して、試行錯誤して、小さな成功体験を重ねて自分の味を見つければいい。私は子どもに対して「こうした方がいいよ」と口で言うことはあっても、できるだけ手は出さないようにしています。
年齢に応じたお手伝いのステップ
子どもには、年齢に応じたお手伝いをお願いするといいでしょう。子どもは、乳児期には五感や基礎運動能力、幼児期なら言葉や創造力というように、年齢に応じて適正な発達段階があります。年齢に応じた刺激を与えることで、子どもに必要な知性や感性が育まれていくのです(※「お手伝い年齢別調査」)。今の子どもたちは、小学生になると習い事などで忙しくなります。2歳から8歳までが、お手伝いを覚えるのにベストな時期でしょう。
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- お手伝いをしやすい住まいのデザイン
- 我が家では、LDKの隣に子どもたちのスタディルームを設けました。家族の気配が伝わり、気軽に声をかけられる距離なので、「手伝って」と言いやすく、子どもがお手伝いしやすい。キッチンカウンターはダイニング側が収納になっていて、お皿やコップなどをしまっています。揚げ物をしているときでも、子どもがキッチンに入らずに配膳などの手伝いができます。また、ご家庭のセーフティデザインとして、新たに開発したキッチンスライドゲート収納もおすすめです。インテリアを損なわないようデザインコントロールされていて、レシピ本などをストックする収納としても機能的です。
キッチン収納のひとつは、子ども用
キッチン収納の引き出しのひとつは、子ども専用です。子どもたちの友だちが来た時には、その引き出しから好きなコップを用意して、自分たちでおもてなしします。奥の引き出しには、お菓子も入っています。コップは20種類程度あり、その日の気分に合わせて使っているようです。そうすることで、家事の楽しみを知ってくれると思います。
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- 子どもがお手伝いをできれば、ママもラク
- 子どもたちに家事力が身につけば、ママの負担が少なくなります。疲れたとき、子どもたちに「なにか作って」とお願いすると、野菜炒めをのせたラーメンを作ってくれたりします。スタディルームの書類や文房具収納は、自分たちで片付ける場所を決めて、ラベルを貼って整理整頓しています。細かく指示したわけではないのですが、小さな頃から私の片付けを手伝うことで、自然と身についたようです。
家族の意識が目覚めるお手伝い
最近の家族は、親も子どもも忙しい。お手伝いは家族のコミュニケーションを深めます。家族の一員としての責任感や、家族への思いやりの心が芽生えます。それに、これからの時代に必要な"暮らしを楽しむ力"が身につきます。ぜひ、子どもと一緒に家事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
profile
- 大内 綾子さん
- ミサワホーム(株)商品開発部キッズデザイン担当。「住まいは巣まい」という企業理念の下で、子育てを意識した住宅の企画開発や、キッズデザイン関連の業務を担当。キッズファミリーが安心して子育てできる家づくりを提案している。