interview
在宅時間を充実させる!
大人の学びで新しい幸せ
プロティアン・キャリア協会 代表理事
法政大学 キャリアデザイン学部教授
田中 研之輔さん
学びやすい環境が
整ってきている今だからこそ、
在宅時間を充実させるためにも、
大人の学びを始めてみてはどうだろう。
「学びは幸せに直結します」と語る
田中教授にお話を聞いてきました
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- 変幻自在のプロティアン・キャリア
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世の中が急激に変わっていくなかで「変化に翻弄されるか」、「変化に適応するか」‥‥。僕が提唱しているプロティアン・キャリアは、変化に適応しながら、変幻自在にキャリアをデザインするという考えです。それは不安を感じて立ち止まるのではなく、組織に依拠してキャリアを考えるのではなく、主体的に行動して人生を豊かにしていく生き方です。
すべての経験をキャリア資産に
プロティアン・キャリアでは、ビジネスだけでなく、プライベートや趣味、友人や地域のネットワーク‥‥すべての経験をキャリア資産に変えることができます。たとえば、ママになって育休に入ると「キャリアが落ちる」という考えがありますが、それは違います。子育ては、日々のアンコントローラブルな事象に対応していくわけですから、マネジメント能力を上げることができるわけです。
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- 新しい学びが幸せを増やす
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人は同じことを続けていると、停滞してしまうものです。新しい挑戦こそがキャリア資産を増やします。いろいろ始めてしまえばいいんです。プロティアンの本を読んで、英語を学び直した人やヨガを始めた人がいますが、始める前よりも幸福感が下がる人はいないですね。新しい学びを始めて、ひとつの目標を達成することは、幸せに直結します。学びは「人生のごちそう」なんです。
自分の好きを突き詰める
学びは強制的なものではないから、自分が好きな世界を突き詰めたらいいんですよ。なんでもよくて、料理でもデザインでも、家庭菜園でも、こういうモデルハウスを巡るでもいい。そういうアクションが、あるときに人生の助けや支えになりますし、キャリアの可能性を広げるんです。学び続ける人とそうじゃない人は、人生が大きく違ってきます。
学びで、新しいコミュニティを
キャリアに悩んでいる人の多くは、所属する組織がひとつしかないんです。たいてい会社と家庭しかないから、会社でうまくいかないとそれが家庭に波及して、逃げ場がなくなってしまう。学びを通じて、ビジネス、スポーツ、美容、音楽のコミュニティ‥‥いろいろコミュニティをつくっておけばいい。それがある種のサードプレイスになりますし、人的なネットワークが広がって人生を楽しむ資産となります。
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- パーパスに近づく学びを
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僕はビジネスキャリアを相談されると「あなたの人生のパーパスは?」と問いかけるんです。「社会のなかでの自分の存在意義」や「なにを成していきたい」を考えることが重要です。それがあると、モチベーションが続いていく。好きなことを通じて、パーパスに近づくのがいいんです。そして、感覚的にキャリアを形成していくのではなくて、次なる成長に向けて、今はなにを学ぶべきかを戦略的に描いていってください。
やるべきことを明確に
30代で将来を迷っている人は、やらなくていいことに時間を費やしています。やらなくていいことを明確にして、やるべきことをやっていく。それが見つからないから、なんでもいいから、つまみ食いするのがいいですね。
打席に立ってください
プロにならなくてもいいけど、バッターボックスに立たなかったら、どんなボールが来ているか分からない。スタンドから見ても分からない。外から見ているだけでは先に進めません。立てばいいんです。デッドボールを受けたとしても、そっちの方がいいんです。そうしないと、新しいことに出会わないから。
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- 大人の学びの環境が整っています
- 今はリーズナブルな学びがいくらでもあります。それにオンライン化が進んでいるので、自宅で学びやすい。たとえば、大学の社会人向けのWEB講座やリンクトインにイーラーニングコンテンツがあったり‥‥。僕は日常的に海外のユーチューブ動画を見ています。大学教授が最新の情報科学やAIとか語ってくれています。オートで字幕が入りますし、便利な時代です。
在宅時間や自宅を活かして
在宅時間の使い方としても、大人の学びは有効です。楽しいことをしているとき疲れないから、リフレッシュにもなります。それに自宅であれば、在宅ワークコーナーやリビングや庭と好きな場所で学ぶことができます。そのときどきでベストな場所を選んで、常に新鮮な状態に自分を置いておくと生産性がいい。僕はときどきマッサージチェアに座って、パソコンを使っていますが、そういうのもお勧めです。
人生100年時代ですから
昔の人の3人分生きることになります。80歳でプログラマーになったおばあちゃんとかいるじゃないですか。ずっと新しいことをやったらいいんです。仕事も趣味もプライベートも、主体的に取り組んで人生を楽しんでください。ぜひ、立ち止まらずに進んでいってください。
撮影:ミサワホーム「GENIUS 蔵のある家」石神井展示場
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profile
- 田中 研之輔さん
- 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会 代表理事、法政大学 キャリアデザイン学部教授 博士(社会学)、専門はキャリア論、一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員を務める。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く務める。民間企業の取締役や社外顧問を27社務める。著書は25冊、「プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論」、「ビジトレ−今日から始めるミドルシニアのキャリア開発」など。
関連サイト
田中 研之輔オフィシャルサイト