【新春特集】ストック社会への変化を好機に新市場開く
作尾徹也・ミサワホーム社長 2026新春インタビュー(2)
医療・介護・子育て施設で地域ににぎわいを

青森市での再開発事業が始動

―まちづくり事業も各地で本格化していますね

作尾 おかげさまで多くのプロジェクトが進行中です。静岡県では三島駅南口東街区再開発や富士駅北口再開発、大阪府の門真市幸福町・垣内町地区用地活用事業、青森県でも青森市本町1丁目2番地区再開発が具体化しています。ミサワホームのまちづくりは、地域のニーズに対応し課題解決を目指す、未来志向のまちづくりであり、住まいと医療・介護と子育て支援施設、商業施設などからなる複合開発が特徴です。「ASMACI(アスマチ)」のブランド名で取り組んでおり、画一的なまちづくりではなく、そこには多世代が触れ合い、にぎわう温もりのあるまちをつくりたいとの想いを込めています。住まいを提供してきた当社だからこそ、地域の歴史を尊重しながら生活に根差したまちづくりに我々は取り組んでいきたいと思っています。
 今年秋に完成予定の大阪・門真市の活用事業では「ASMACI」として、「日本で一番、子どもの笑顔が輝くまち」というコンセプトを掲げ、学びや生活、健康を支える地域の拠点となる施設を計画。ここには高層マンションと、図書館・文化会館が隣接します。まちづくりは地域との合意形成まで時間がかかります。ASMACIブランド展開を進めている青森市の市街地再開発事業においては、街づくり協議会への参加から10年、昨年ようやく準備組合と協定締結に至りました。医療・介護、子育て支援施設に加え、ねぶた祭が見える通りに面しているということで観光産業との相乗効果も期待されています。
 まちづくり事業でも、長年の医療・介護施設運営を通じて蓄積してきた実績やノウハウを生かしており、外部からの評価もますます高まっていると感じます。

―超高齢社会が進む今、そのノウハウは貴重ですね。

作尾 ミサワホームの大きな強みだと思います。長年の直営施設運営で培ったさまざまな介護知見をリフォーム事業や新築事業など他の事業に活かすため、「ウエルネス事業」として力を入れています。健康でいつまでも安心して暮らし続けられる住まいやまちづくりは、空き家や年金など社会問題の解決にも貢献できると思っています。

米国・豪州で多角化推進へ

―海外事業は、アメリカと豪州で取り組まれていますが。

作尾 現在米国の住宅市場は金利の高止まりなどの影響で不透明さが増しており、厳しい状況が続いています。
 とくにテキサス州の子会社では一次取得層向けの戸建住宅を中心に事業を展開しており、苦戦を強いられているため、商品ラインアップや販売戦略を含めて対策を検討しています。
 一方、豪州では戸建住宅のほか、マンションや投資物件を加えた多角化戦略がうまく機能してきています。一時は職人不足で工期が長期化する課題もありましたが、職人を自社で抱えることにより施工力アップとともに利益率向上にも大きく寄与しています。海外事業は一昨年度初めて1000億円を超え売上高全体を押し上げる柱になってきているだけに着実に伸ばしていきたいと思っています。

―技術面で取り組んでいることは。

作尾 ミサワホームは木質パネル接着工法の発明から創業し、これまで木にこだわり木造建築の可能性を広げてきました。昨年は最大5階建ての中層建築が可能な構法「CROSS MONOCOQUE」(クロスモノコック)を新たに開発し、東京都内から発売を開始しました。木質パネルと鉄筋コンクリート造を組み合わせた混構造耐火建築物とすることで5階建てまで建築を可能にしたものです。住居はもちろん、店舗や事務所などの非住宅と組み合わせることができ、カーボンニュートラルの一般建築物においても木造化・木質化が推進されている中、複合建築物として、さまざまな用途で活用することができます。
 ミサワホームの木質パネルは南極の昭和基地の建物にも採用されており、断熱性、耐久性、耐震性など質の高い建物を提供することで事業者の価値向上に貢献したいと考えています。南極での知見や技術は国内でのさまざまな技術開発に生かされており、その一つがトレーラーハウスのミサワユニットモビリティ「ムーブコア」(以下、ムーブコア)です。ムーブコアは、居住性能と機能性から新しいトレーラーハウスとしての期待も大きく、いつもは別荘や宿泊施設、店舗として利用し、もしもの時は災害復興住宅にも活用できるなど、さまざまな用途が考えられます。今年1月にはJR函館駅の線路そばにホテルとしてのムーブコアが開業します。南極では昭和基地最大の建物となる夏期隊員宿舎の建設が急ピッチで進んでいるほか、ムーブコアの簡易連結や電力オフグリッド検証も行われています。
 また、木質パネルの芯材は30年以上前から環境先進国であるフィンランドの自社工場で作られています。森林管理に関わる認証を受けた質の高い木材を使いますが、製材時にでる樹皮やおがくずは隣接の発電所のバイオマス燃料として利用されており、発電所の電力はミッケリ市内の電力の約8~10%を賄っています。発電で発生する熱も買い戻し木材の乾燥に使用されるなど、廃棄ゼロの循環型のシステムを工場開設時から行っています。
 当社にとっては当たり前に取り組んできたことですが、持続可能性が求められる社会においてフィンランド材のもつ価値は改めて注目されてくるのではないでしょうか。

―「デザインのミサワ」の称号も多いですね。

作尾 グッドデザイン賞は昨年で36年連続の受賞、業界ではナンバー1となり、昨年度は企画住宅「スマートスタイル ルーミエ」の大屋根タイプとスキップ蔵タイプのダブル受賞となりました。累計では住宅商品58点を含む176点と住宅業界では最多の実績です。キッズデザイン賞は創設以来19年連続での受賞で、こちらも「スマートスタイル ルーミエ」スキップ蔵タイプが受賞し、累計69点となります。
 デザインへのこだわりで昨年末から新しいCMも始まっているバウハウスについてもお話しさせてください。バウハウスは1919年にドイツで設立された造形学校で、その思想は、デザインや建築、造形教育において今なお世界に多大な影響を与えています。ミサワホームは1989年にバウハウス関連の作品の収集をはじめ、専門美術館「ミサワ バウハウスコレクション」を開設しました。現在、作品約1500点、資料約1200点、芸術関連の蔵書約1万3000冊を所蔵。日本最多のバウハウス関連物を所有しています。
 ミサワホームがバウハウスに共感している理由は、バウハウスが美しい住宅の量産化を目指していたからです。富裕層のための高級な家を作るためではなくよいものを安く量産化する、それはつまりミサワホームが目指す工業化住宅そのものであり、学びが多いと思ったからです。その精神は企画住宅の「スマートスタイル」にも脈々とつながっており、それだけにグッドデザイン賞の受賞はうれしいことなのです。

MBPと新たな事業領域を拡大

―MBP活動も本格的に展開されています。改めて期待することは。

作尾 一昨年、これまでのMRDからMBPへと変わり、これまでの不動産業者に加え金融機関、各種士業、地元企業など幅広い皆様をビジネスパートナーにネットワークを広げてきました。情報交換と懇親を兼ねた「MBPフォーラム」も盛況で、多くの顧客紹介、土地紹介をいただいており、感謝申し上げます。
 ミサワホームの事業ポートフォリオは多岐にわたっていますが、新築、ストック、まちづくりなど、ほとんどの事業領域が地域密着のMBPの皆様との協力、協業なしには進められないと思っています。そのためにはこれまでの事業モデルに合わせた仕組み、組織のあり方を根本から変える必要があると感じています。地域ごとのニーズに合わせて各拠点が独自の活動として考えていく、社員の意識改革と自主性の育成が次のミサワホームの成長、発展につながると確信しています。
 その強い思いから来年の標語は「変革」としました。来年2027年の創立60周年へ向けて、事業の多層化と新たな事業領域へのチャレンジを加速していきたいと思います。

記事一覧

お問い合わせ・ご相談窓口

放夢新聞へのご質問やご意見等、
各種ご相談はこちらから

お問い合わせ
トップ ニュースリリース 【新春特集】ストック社会への変化を好機に新市場開く 作尾徹也・ミサワホーム社長 2026新春インタビュー(2)