令和8年(2026年)の幕が明けました。今年の干支である丙午(ひのえうま)は、60年に一度巡ってくるもので、情熱や変化を象徴するとされます。国内外でビジネスを取り巻く環境が激変するなか、企業にとってはこれまでの常識では解決できないことも多く、それらに着実に取り組んでいくことが求められています。情熱と変化の年を迎え、ミサワホームではどのように進んでいくのか、作尾徹也社長に伺いました。

賃貸・非住宅の付加価値向上が奏功
―昨年の住宅市場を振り返っていかがですか。
作尾 新築戸建市場は厳しいといわざるをえない状況です。2025年前半は、省エネ基準義務化や4号特例の縮小による駆け込み需要、こどもエコすまい支援といった補助金の後押しで新設着工は一時的な増加もみられましたが、年間でならしてみると厳しい状況が続いています。職人の不足と高齢化への対応は必須で、新築を受注しても建てられる大工がいない、という状態も現実に起き始めています。資材や物価の高騰も続き、長らくの低金利で需要を下支えしてきた住宅ローン金利も上昇トレンドに入っています。不動産価格は上昇し、首都圏などではマンションは新築だけでなく中古も1億を超えており、年収1500万円ほどのパワーカップルでさえ手が出ない状況になっています。市場を取り巻く環境が一変した1年だったのではないでしょうか。年末には高市首相になって初の補正予算で「みらいエコ住宅」の創設や、来年度税制改正では住宅ローン減税の延長が打ち出されるなど、国も市場活性化にあの手この手で支援を考えていただいているのはありがたく明るい材料といえます。
そのような環境の中、ミサワホームにおいては注文住宅は棟数、受注金額ともに前年比減と厳しさは続いていますが、賃貸・非住宅を含めた1棟あたりの受注単価は前年より上昇しており、今年度第3四半期までの全体の受注高・売上高は前年を上回る見通しです。通期の売上高・利益目標の達成へ向け、さらにギアをあげていきたいと思っています。
―賃貸が好調な要因をどうみていますか。
作尾 戸建も含めて1棟あたりの付加価値を高めるべくさまざまな手を打ってきており、とくに賃貸の方はそれが功を奏してきていると思います。お客様の省エネや性能への意識や選別の目も厳しくなってきていることも要因の一つでしょう。現在のような高騰する不動産価格では家を買いたくてもなかなか手が出ない、それなら賃貸へという流れは今後も続くと思います。しかし今の30代、40代のファミリー世帯は、賃貸にも持ち家並みの広さやグレードの高い設備といった豊かさを求めています。ミサワホームの賃貸住宅は一部を除き、約3年前から玄関ドアやフローリング、ユニットバスなどは戸建住宅と同様の部材を採用しています。ミサワホームの大収空間「蔵」をつけた「蔵のある賃貸住宅®」も大きな差別化ポイントとして浸透してきており、ご入居者、賃貸オーナーともにご評価をいただいています。賃貸住宅は首都圏を中心に展開してきましたが、これからは仙台、名古屋、大阪、福岡といった地方中核都市で市場開拓にも力をいれていきたいと思います。
事業間連携を加速し社会課題の解決に貢献
―5つの事業のうちストック事業の状況は。
作尾 ミサワホームは「新築」「ストック」「まちづくり」「海外」「ウエルネス」の5つの事業を柱に展開していますが、ストック事業はとくに積極的に取り組んでいます。ストック事業のうちリフォームについては、受注促進によって比率を伸ばしてきた中大規模工事を中心に安定的に拡大しています。リフォーム工事は1人の人間の労力に頼る労働集約型であるため、効率的に事業規模を拡大していくためには中大規模のリフォーム工事を伸ばしていく必要があります。最近では戸建住宅のほかマンション、旅館、ホテル、オフィスビル、商業施設など非住宅分野でのリフォーム事例も増えています。
また、リフォーム空間を展示して見せる「リフォームショールーム」の開設にも注力しています。実際の住空間に近い空間展示によりお客様にリフォーム後の空間をイメージしやすくしてもらうのが狙いです。エリアごとのニーズに合わせた展示を行っているのも特徴で、例えば東京・目黒では、子どもをもつ都心のパワーカップルによるマンションリノベーションを想定して作り込んでいます。佐賀では既存の展示場をアクティブシニア・子育て世代、企業向けのコワーキングをコンセプトにしたリフォーム特化型の複合展示場としてリニューアルオープンしています。順次、全国でも開設を増やしていきたいと思います。
ストック事業のなかには買取再販も含めた不動産事業もありますが、売上規模は現状では70億円程度で、まだまだ成長の余地があります。今後は、戸建住宅の仲介だけでなくオフィスビルなど事業用不動産や大型ストック案件など、より幅広い不動産取引にも取り組んでいく方針であり、不動産事業もさらに強化していきたいと考えています。
5事業の展開と事業間連携を推進

