床の間は、掛け軸や美術品、草花や季節のしつらえなどを飾るためもので、来客におもてなしの気持ちを伝える意味合いもあります。床の間は、部屋の一部を一段高くした床を南向きまたは東向きにとります。
畳は、吸湿性、吸音性、断熱効果に優れた素材で、高温多湿の日本において、1年を通じ室内の湿度を調節する役割のほか、結露やカビを防ぐ効果もあります。また畳のイグサの香りには、森林浴同様の効果があるとされ、香りや天然素材ならではの手触りが、五感に働きかける心地よさもあります。畳は床に比べ弾力性があるので、小さなお子さまが転んでも衝撃が少なく、遊び場所としても活用できます。そのほかにも、畳には、和室の美しさを引き立てる重要な役割があります。床の間の前の畳を、床の間に対して目が並行になるよう敷くことで水平な線が安定感を生み、床の間を落ち着いて鑑賞できるようになります。
床の間と畳を引き立てるのが、外と中をやさしくつなぐ障子です。障子は、和紙を通したやわらかな光を室内に取り入れる日本独自の文化といえます。障子からのやわらかな光は、床の間に飾られた絵や草花を一層引き立ててくれるでしょう。
襖は、部屋の間仕切りや押入れ、戸棚の戸などに用いられます。素材が紙や布のため、吸湿性、吸音性に優れ、ドアに比べて軽いため簡単に外すことができるので、現代の住宅にも取り入れやすいものの一つです。
日本人の暮らしが、椅子やソファに座るスタイルになったとはいえ、やはり、畳に座ったり、ごろんと寝転がったときの安堵感は独特のものです。木、布、紙といった自然素材の優しい手触りや素朴な温もりが和室空間に安らぎを与えてくれるのでしょう。現代のライフスタイルに合わせて、もっと気軽に和室を活用してみることで、和室のよさを見直してみましょう。