中古住宅を購入してリフォームをする場合では、一般に、新築や建て替えと比べてコストが抑えられる傾向にあります。中古住宅の販売価格は新築の費用よりも安く、さらに値引きの交渉をする余地が残されていることも多くあるためです。また、既存の柱や梁などの構造体を生かしながら上手にリフォームすることができれば、すべて建て替える場合に発生する、解体費用や廃材処分のコストを抑えることができます。予算に合わせてリフォームの範囲を1階だけ、またはリビングダイニングや水廻りを中心に、など自由にアレンジすることも可能です。
条件はあるものの、さまざまな減税制度や補助金制度を利用できることも大きなメリットです。物件購入にあたっては、住宅ローン控除や贈与税非課税などの優遇措置が受けられる場合があります。また、耐震やバリアフリー・省エネ住宅などへのリフォームを行う場合、所得税や固定資産税の優遇措置が受けられたり、地方自治体が設けているリフォーム支援のための補助・助成金制度を利用して、費用負担を軽減できることもあります。
周辺の環境や隣地との関係を把握しやすいことも中古住宅の特徴です。街並みや近隣の雰囲気、日当たりや眺望、プライバシー保護の具合などを実際に見て確認できます。中古住宅はさまざまなエリアで売りに出されており、お気に入りのエリアがある場合も、物件数は新築に比べると多い場合があります。
中古住宅をリフォームする場合は、建売り住宅とは異なり、自分たちのセンスで好みのデザインにすることができます。こだわりの材料やパーツ、設備を導入して、個性あふれる空間が実現でき、フルリノベーションによってライフスタイルに合わせた間取りの変更も可能です。うまく既存部分を残して見せることで、空間にメリハリや新たな魅力が生まれるかもしれません。
間取りを変更する場合は、建築時の工法によってリフォームのしやすさが異なります。一般に、柱と梁、筋交いで構成される在来工法(木造軸組工法)の住宅は間取りの変更が比較的しやすいといえますが、耐震性を損なわないよう留意する必要があります。一方、2×4工法や壁式の鉄筋コンクリート造の場合、床や壁などの面を組み立てて支える工法のため、構造壁は取り外せないなど、間取り変更が制限されることがあります。いずれにせよ、間取りの変更は構造体の耐震性能をしっかり確認してから計画しましょう。
また、耐震や断熱などの性能を向上させるリフォームは、住宅の老朽化が激しい場合、計画が大掛かりになり、新築や建て替えよりも高額になってしまうこともあるので注意が必要です。
築年数の経過した中古住宅は、設備配管の老朽化、構造体の劣化、耐震性の不足などの問題がある場合があります。適切なリフォームで快適な暮らしができるように、物件選びのポイントを押さえておきましょう。
□ 風通しと断熱性能のチェック
床下の風通しがよくない場合、土台や床材の腐朽やシロアリ被害が起こりやすい状況にあります。基礎の換気口の有無や位置、床下点検口から床下の湿り具合などを確認しましょう。屋根裏でも、雨漏りや結露の有無を確認します。また、断熱性・気密性は快適な暮らしに直結し、省エネにもつながります。外壁や床、天井、窓ガラスの断熱仕様を確認しましょう。
□ 築年数のチェック
中古物件で気を付けたいのは、耐震性能です。1981年に「新耐震設計法」が施行され、木造軸組工法では筋交いや面材による耐力壁を設けることが義務づけられました。これ以前に建てられた住宅は、耐震性が不十分である可能性があります。
□ メンテナンス履歴のチェック
過去に水漏れやシロアリ被害などがなかったかなど、見えない劣化の状況は、修理の履歴を確認することである程度把握できます。また、入居の履歴も調べるとよいでしょう。人が住んでいない期間が長い場合は、傷みが進行しやすい状況にあるからです。もちろん、壁や部屋の隅にカビや黒ずみがないか、水回りや床下に水漏れ跡がないか、外壁に亀裂が入っていないかといった目視での点検も重要です。