日本の住まいに被害を与えるシロアリは主に以下の4種類です。
北海道北部を除くほぼ全国に生息。湿気を好み、土の中から蟻道(土のトンネル)を作って主に建物下部の湿った木材に侵入し、食べていきます。
関東以西に生息。日本でもっとも多くの被害が報告されている種類です。ヤマトシロアリ同様に湿気を好み、蟻道を作りながら移動しますが、乾いた木材へも水を運んで侵入するため、柱を伝って天井へと、被害が建物全体に及ぶことがあります。
全国各地に点在。もともとは北米産ですが、輸入家具などと一緒に国内に持ち込まれ繁殖しました。国内産と異なり乾燥にも耐えるので、蟻道を作らずに直接住まいに侵入することが可能。そのため発見が難しい種類です。
奄美大島以南と小笠原諸島に生息。アメリカカンザイシロアリ同様乾燥に強く、枯木にも生息します。ピアノや家具などに潜み、屋内に持ち込まれるケースが多いようです。
このように、住まいにとって注意すべきシロアリは4種類です。中でも被害の多さという点では、ヤマトシロアリとイエシロアリなどの湿気を好むタイプ、いわゆる土壌性シロアリに気をつけた方がいいでしょう。この2種類は皮膚が弱く乾燥を嫌うため、じめじめとした暗い所、具体的には次のような場所の床下を好みます。
そのほか、建物の周囲に置かれた廃材や玄関まわりにも注意が必要です。特に玄関まわりは建具や上がり框などの木製の部材が地面に近いため、土の湿気を好むシロアリにとってあまり移動せずにエサにたどり着ける格好の場所となります。最初に玄関まわりから食害され、さらに別の場所へ移動するケースも多々あります。
では、実際にどのような被害が考えられるのでしょうか。場所別にご紹介しましょう。
浴室やキッチンなどの水まわりは特に、タイルの亀裂や床のすき間などから水が浸入し、その下の木材が濡れるケースがあります。シロアリはこの湿気を察知し、近づいてくるのです。このような場所の床下の土台や束柱が食害されると中が空洞になり、強度が著しく低下することがあります。
シロアリは主に床下から蟻道を作って侵入し、やがて居室内の柱まで食害します。しかし、光に弱いことから柱の中身しか食べません。気がついたときには内部が空洞というケースが目立ちます。柱の多くは耐震性を維持する重要な役割を担っており、シロアリ被害が大きくなると建て替えを余儀なくされることもあります。
雨漏りや結露などによって壁の内部が濡れてしまうと、シロアリを寄せ付けることにつながります。シロアリは目が見えないため、たとえ栄養分がなくてもかじれるものはすべてかじって前進します。その結果、木部だけでなく断熱材もぼろぼろになることに。柱と同様、耐震性への影響も生じます。
玄関の土間はタイルを貼って仕上げられることの多い場所です。土間に撒いた水がタイルの亀裂や隙間から滴り、床下の木部が濡れるとシロアリが寄ってきます。「家の顔」といわれる玄関に食害の痕が目立つのは、ぜひとも避けたいところです。