木質パネル接着工法による世界最高水準の耐震性能を、
実大建物実験を繰り返し、確認しています。
木質パネル接着工法による世界最高水準の耐震性能を、実大建物実験を繰り返し、確認しています。
耐震性能の構造強度基準には、2種類あります。ひとつは建築基準法に定められた具体的な材料や寸法、構造方法による「仕様規定」。もうひとつは、実験や計算などにより一定の性能をクリアすることを確かめる「性能規定」です。ミサワホームでは、阪神・淡路大震災後の2000年の建築基準法改正に合わせ、建物ごとに異なる耐震性能を、より詳細に検証・把握する「性能規定」を選択しました。「仕様規定」では、決められた規定さえ守れば建築できるため、たとえば大規模な地震が発生したときに、建物がどのように変形するかについてまでは詳しく検証する必要がありませんでした。しかし、ミサワホームではより大きな安心をすべてのオーナーさまにお届けするために、建物に加わる荷重・変形などを詳細に検証し計算する限界耐力計算による「性能規定」を、木造住宅業界に先駆けてあえて選択したのです。
性能規定 | |
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工法例 | ミサワホーム(木質パネル接着工法)、高層ビルなど |
内容 | 建物の構造性能をさまざまな実験や解析をもとに確認・把握し、建物に加わる荷重や変形を詳細に検証し計算する規定。 |
特長 | 設計する建物の構造性能を確認・把握するため、さまざまな実験や解析を行う必要がある。 |
設計対応 | 耐震性能が技術的に明確なため、建築構造設計者は耐震性能を明確に、かつ容易に意識して設計できる。 |
計算方法 | 限界耐力計算 |
仕様規定 | |
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工法例 | 在来工法、ツーバイフォー工法 |
内容 | 建築基準法に定められた材料・寸法・構造方法の範囲内で設計し、構造や部材等の安全性を確保する規定。 |
特長 | 設計基準の仕様を満足する設計でさえあればいいため、建物の具体的な耐震性は不明確である。 |
設計対応 | 建物がどんな具体的性能を満たしているか不明確なため、建築主と設計者は性能について明確な合意のもとで設計する必要がある。 |
計算方法 | 不要(壁量確認) |
1997年11月、ミサワホームは東京大学と共同で「実大建物振動実験」を実施しました。この実験では家具などをセットし、実生活に近い状態を再現して行いました。実験建物には「実大建物振動実験」としては世界初の試みとなる3階建と、2階建の2種類を使用し、阪神・淡路大震災時の最大地盤面加速度818ガルを基本に、最大1,000ガルの地震波をも再現。その結果、地盤面加速度818ガルの場合、3階建の2階床面の最大応答加速度は1,085ガルにとどまり、1・2階の変形量も10.7㎜ときわめて少ないことがわかりました。これは、ミサワホームの建物の剛性がきわめて高く、大きな揺れに対しても建物の変形が小さく抑えられることを証明しています。また、建物の応答加速度を低く抑えられることは、家具の倒壊などによる二次災害を防ぐことにもなります。実験後の調査では、壁クロスの一部にシワができた程度で、構造強度にかかわる損傷はありませんでした。
「性能規定」を採用するミサワホームでは、正確な耐力を算出するために結合用ボルトをゆるめたり、下り壁や腰壁をカットしたり、さらに木質パネルの耐力壁の多くを削除するなどした上で、繰り返し振動実験を実施しています。壊れるまで実験を繰り返すことで、構造体の限界点を把握・確認し、すべての住まいで高い安全性を実現しています。
ミサワホームの建物は、建築基準法で定められた「型式適合認定」および「型式部材等製造者認証」制度を利用して、建物の構造安全性を確認しています。あらかじめ、構造計算や実大実験などを通じて設計仕様(設計ルール)を定めており、個々のプランにおいては、その仕様確認を行うことで構造安全性が確保されるしくみです。
この設計仕様の中で、ミサワホームでは独自の構造チェックとしてBCS(ブロック・チェック・システム)を実施しています。BCSは、耐力壁の配置バランスや必要壁量の確保などを目的としており、下のように平面図を部屋単位でいくつかのブロックに分割し、「限界耐力計算」により算出した必要壁量を、すべてのブロックで上回るように設計します※2。ミサワホームはこの設計手法を1967年の創業時から採用しています。
※1 建物:木質パネル接着工法による3階建住宅
面積:1F 50.9㎡/2F 50.9㎡/3F 46.4㎡/TO 148.2㎡
建物総重量:272kN(27.8tf)
実施年月:1997年11月
場所:(財)原子力発電機構多度津工学試験所
入力波:1995年兵庫県南部地震時に神戸海洋気象台で観測された地震動記録(NSとUD)を増幅した地震波を入力。最大加速度:1,000ガル 加振最大速度:94.4kine
[入力波例]:KOBE1.0/水平加速度:818.8ガル/水平速度:94.4kine/水平変形:198.2㎜/垂直加速度:336.5ガル/垂直速度:40.3kine/垂直変形:92.0㎜
建物が地震力にどこまで耐えるかという指標を示す計算で、性能規定を確認する手法の一つ。
性能を明確化し、計算根拠となるデータを収集するためにさまざまな実験・解析を繰り返す必要がある。
建物外側から水平にかかる力で建物の耐震強度を評価する構造計算方法。2000年の建築基準法改正の前から、木造3階建の建築物などで一般的に用いられてきた。
「ガル」は、地震動の大きさを「加速度」で表す単位。自動車が発進するとき、ある速度に達するまでの時間が短い(加速度が大きい)ほど、体は座席に強く押し付けられて衝撃が大きくなります。同様に、揺れの最大加速度によってその地震の大きさを表すことができます。
自動車が発進すると(加速度がかかると)、体はその場に残ろうとする力がかかって座席に押し付けられますが、この大きさが「応答加速度」です。同様に地震が発生して地面が揺れると、建物にはその場に残ろうとする力が働いて建物の揺れとなりますが、応答加速度はこの大きさを表したものです。一般に地震時の建物の応答加速度は、地盤面加速度よりも大きくなるため、同じ建物内でも上階にいくほど大きく揺れるという現象が起こります。
「カイン」は、地震動の大きさを「速度」で表す単位。自動車の発進に例えると、同じようにアクセルを踏んでも(同じ加速度でも)、どのくらい踏み続けたかによって速度や移動距離は変わってきます。最大加速度が同じでも加速の継続時間によって地震の大きさは異なるため、この速度の最大値によって地震の大きさを表すこともできます。
建築基準法について型式に関する一連の規定に適合していることを国土交通大臣があらかじめ認定するもので、建築物の確認申請については構造計算書が不要となる。
型式適合認定を受け、さらに規格された型式の建築物を製造する者(メーカー)について国土交通大臣があらかじめ認定するもので、建築物の確認申請図書から、構造図および構造計算書が不要となる。
※2 別の壁量計算を用いる場合もあります。