賃貸住宅建て替え研究室 Part2

あたりまえのアパート経営

空室が多くなってきた。修繕費がかさんできた。耐震性に不安がある・・・。
そんな賃貸住宅の老朽化は、オーナー様にとって大きな悩みです。
今回の特集では、賃貸住宅の建て替えについて研究します。
少子化、人口減だからこそ大切な、しっかりとした計画を立てるヒントをご紹介します。

この記事は資産活用情報誌「GOOD OWNER」2015年9月号掲載記事をWeb用に再編集した内容となっています。掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。

老朽化した賃貸住宅の活用方法を考える

古くなって空室が多くなった物件をどうするか。
対策として3つの選択肢をご紹介します。

主な選択肢は3つ。目的とメリットで考える。

老朽化した賃貸住宅の対策として、主な選択肢は、①建て替え ②大規模リフォーム ③売却の3つが考えられます。以前より高い収益を見込める、相続税の節税効果を見込めるなど、メリットがあれば建て替えは有力な選択肢です。また、耐久性に問題がなければ、大規模リフォームで費用を抑えて魅力的な付加価値を加えることも効果的です。
さらに賃貸需要が低下している、周辺にも空室が多い等の立地状況の場合は、売却して他の収益物件に買い替えるという選択肢もあります。綿密な分析、検討からベストな方法を提案してくれる専門家をみつけておくのが大切です。

空室は本当に老朽化が原因かを検討。

古くなっているから仕方ないと、空室物件を放置しているオーナー様もいらっしゃるかもしれません。しかし、古くてもきちんとメンテナンスやリフォームを行っている物件は、常に満室で入居待ちとなるケースも多くあります。間取りは今のニーズに合っているか?設備は使い難くないか?これらを検討し、ニーズに応えるリフォームにより、空室の解消・減少につながることも少なくありません。

建築の規制で建て替えが不利になることも。

建て替える際に注意したいのは、建築の規制が、以前とは変わっていることがあるケースです。例えば、以前は4階建ての建物が建てられていた場所が、3階までしか建てられなくなっていた。また、より多くの空地を設けることが必要になっていたなど、建て替えることで賃貸住宅の戸数を減らす必要がある場合もあります。このような場合でも大規模リフォームを選択することで、解決できる場合があります。まずは専門家に相談をしてみましょう。

売却をして収益力のある不動産に買い替えも。

既存建物を解体した後に、更地で土地を売却する場合と、既存建物付きで売却する場合が考えられます。空室の多い物件を売却する場合、空室率を加味した評価をすると低い売値となってしまうことがあるので注意が必要です。売却価格、売却益を十分に検討し、より収益力の高い物件に買い替えることで、資産価値を高めることができるのです。

鍵となるのは入居者の退去。

建て替えるにしても、大規模リフォームにしても、共通している課題が入居者の「立ち退き」です。スムーズにいくケースもあれば、こじれる場合もあり、これまで入居者と良好な人間関係を築いてきたからといってスムーズにことが進むとは限りません。まずはノウハウを持っているプロに相談することが大切です。不動産会社、住宅メーカー、弁護士等、詳しいプロをみつけることから始めましょう。

建て替えスケジュール&検討のポイント

建て替え成功のポイントは、周到な準備と十分な検討です。

計画&スケジュールを検討することから。

建て替えを検討する際は、立ち退きや解体などで多くの手間と時間が必要になります。また、以前建てた時と現在では、社会情勢や入居者のニーズは大きく変わっています。しっかりと市場調査を行い、現在のニーズにあった物件を計画する必要があります。

立ち退きの正当な理由とは。

立ち退きとは賃貸借契約をオーナー側から解約することで、入居者が拒んだ場合、「正当事由」がなければ、解約はできません。正当事由には明確な基準がなく、個々の事情で判断されます。例えば、「建物の築年数が古く耐震基準を満たしておらず、倒壊の危険がある」、「オーナーが住む住居をそこに建てる(今は賃貸)」「相当の立ち退き料を提示する」など、さまざまな理由を総合的に判断した上で正当事由が認められます。

立ち退きスケジュールを考えておきましょう。

まず賃貸借契約の解約申し入れから始まります。これは、解約したい日の6カ月前までに行わなくてはなりません。または、更新時期を見越して、更新しない旨の通知を契約期間満了の6カ月前~1年以内に入居者に通知してもよいでしょう。いずれの場合も書面による通知を行うことが大切です。

建て替えの費用をしっかり考える。

建替えの場合には、立ち退きのための費用や解体費用、そして建築費用などが必要で、更地に賃貸物件を建てる場合より多くのコストがかかります。収支計画をきちんと立て、綿密に考える必要があります。

建て替えに詳しいプロを見つけましょう。

賃貸住宅の建て替えには、大変な労力とノウハウが必要になります。住宅メーカー等には経験の豊富なプロがいますから、まずは相談してみると良いでしょう。様々な選択肢を提案し、将来を見据えた最適な計画を考えてくれるパートナーを見つけましょう。

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