トップ - HomeClub特集 / 住まいのイメージをふくらませる - 暮らしを見直して高さを活かしたストレスのない空間づくりを
2021.06.14
心地よい住まい。それは誰もが求めるものだけれど、「具体的にどんな住まいなの?」と聞かれると、意外に答えを思い描けない方も多いのではないだろうか。 「確かに難しいですよね。何を心地よいと感じるかは人によって異なります。一緒に暮らしている家族の間でも違うことがあるくらいですからね」 そう答えてくれたのは、ミサワホームの星野真弓さん。長年にわたってお客さまからのインテリアの相談に応え続け、モデルハウスのインテリアなども手掛けてきたインテリアコーディネーターだ。
「心地よさは、時代によって少しずつ変化している気がします。たとえば空間の美しさも心地よさを左右する要素の一つですが、高度経済成長期のモノへの憧れが強かった時代は、整えられた緊張感のある美しさに憧れ、心地よさよりも憧れを手に入れる事を優先していた人が多かったと思います。けれど昨今は、気軽さや親しみやすい安心感みたいなものが心地よさにつながっていると思います。いつの時代でも変わらないのは心を満たす事が心地よさにつながるということだと思います」
たとえば、住まいに使われる木材。かつては節のないモノを尊ぶ傾向が強かったが、最近はあえて節のあるモノも好まれ、素材感がそのまま現れたモノに心地よさを感じる人も多い。 「高級感一辺倒ではなくて、自然に現れる色ムラや、人の肌にやさしい洗いざらしの手触りとか、そうしたラフさを持った素材なども好まれていますね。だからといって、それがすべてではありません。高級感や重厚感を美しい、心地よいと感じる人もいらっしゃいますし、やはり最後は人それぞれ心が満たされる感性によるのだと思います。私自身も、お客さまからインテリアのご相談を受けるときは、まずはお客さま一人ひとりがどんなコトやどんなときに心地よいと感じるのか、それを理解することを大切にしています」
心地よさは人によって千差万別。だが、誰にとっても共通することがある。それは心地よさを「五感」で判断しているということだ。たとえば広びろとした空間に身を置いたときや、素材に触れたときの自分の気持ち。空間を漂う音楽や外から聞こえる鳥のさえずりに耳を澄ませ、鼻孔をくすぐる香りの変化で軽やかになる心。そんな瞬間こそが、「心地よい」の正体であり、言い換えると、そんな瞬間を多く味わわせてくれるのが、心地よい住まいなのかもしれない。 「心地よい住まいを思い描こうとするなら、家や空間だけではなく、そこにいる自分や家族がどんな気持ちを味わっているかを考えるとイメージしやすいですね」
人に備わる五感とは「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」、「触覚」、「味覚」のこと。それらの感覚ごとに自分に合った心地よさを思い浮かべれば、漠然としていたイメージが、はっきりしてくるに違いない。
「心地よさは人によって違いますが、だからこそ必要になってくる『前提』のようなものが住まいには求められていると思います。一つは、ストレスを感じさせない住まいであること。たとえば、収納力が足りないといつもモノにあふれて片付かない空間になってしまいます。どんなカタチであれ、心地よさを実現するには、住まいがシンプルな美しさをたたえた器であることと、その美しさを保つための基本性能が必要だと思います」 加えて、ある程度の「懐の深さ」のようなものが住まいにあれば、どんなカタチの心地よさでも実現しやすくなる。懐の深さの一つは「高天井」だ。次ページからは、住まいの心地よさを実現するうえで、高天井がどんなメリットをもたらしてくれるのか、そんなことも含めて、五感に心地よい住まいづくりについて考えてみよう。
ミサワホーム株式会社 建材販売推進部
インテリア担当 星野真弓
入社以来、ミサワホームの理念でもある「人が主役の住まいづくり」の考えの元で長年にわたりインテリアに携わる。現在はミサワホームグループへのお客さまのインテリア提案と販売促進を行う。「住まいづくりは完成がありません。住まい手に合わせて変化していくための余白を作り、そして美しく暮らす提案をして、お客さまの心を満たし、心地よさにつなげていきたいと思います」