interview
お気に入りの文房具で
生活をバージョンアップ
文具プランナー
福島 槙子さん
「書くことを楽しみたい、
在宅ワーク環境を充実させたい」。
そういう人が増えていて、
文房具の世界が広がっている。
文具プランナーの福島さんに
その楽しみ方をインタビューした
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- 文房具が見直されています
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ここ10年ほど、文房具ブームが続いています。お仕事では、ほぼパソコン完結で手書きに触れる機会が減ったと思うんです。でも、味気ない書類でも、一筆を添えるだけで温もりが感じられます。また、コロナ禍のステイホームで日記や手帳や手紙を楽しむ人が増えています。書くことに対して昔よりも特別なことと感じて、文房具の人気が高まっています。
テレワークで、さらに文房具ブームに
以前は、文房具は会社で支給されていたんですが、今はその制度が減っています。「自分で買うのであれば、デザインも機能も自分に合った文房具を買いたい。それがステキであれば、お金をかけていい」。そういう方が増えています。在宅ワークの増加も、その流れを後押ししていますね。
さまざまな文房具が生まれています
それに、作り手は大手メーカーだけではなく、多くのベンチャー文具メーカーが登場していて、ペンや紙ものはもちろん、収納文房具など、さまざまな文房具が毎年たくさん生まれています。実際に、文房具を調べてみると、その広がりや進化に驚くと思います(笑)。
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福島さんの著書「文房具の整理術」で紹介している美しい机上空間
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- 書くことを楽しむ文房具
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安価な万年筆が多数登場していて、カジュアルに書くことを楽しむ方が増えています。万年筆は、力を入れずにさらさらと書けますし、インクの濃淡が出て味がある字を書けていいですね。そして万年筆とともにインクが人気です。昔は、インクは黒やブルーブラックなど決まりきった色しかなかったんですけど、今はカラフルなインクがたくさん登場しています。つけペンの一種のガラスペンも人気で、それは目的や内容に応じてインクの色を楽しむためなんです。
木軸のペンが流行っています
こだわりの一本を長く使いたい方も多くて、木軸のシャープペンシルやボールペンが流行っています。昔からあったのですが、ユーチューバーさんが紹介したことで火がつきました。作家さんものだったりして、高価ではあるんですけど‥‥使い続けていると手に馴染んでいき、つやが出てきてエイジングを楽しめます。
書くと特別になります
パソコンやスマホに打つのと違って、書いた文字にはそのときの感情とか体調がすごく表れますし、それって、なにか特別なものになるんですよ。手帳や日記を見返すと、そのときのことが蘇ったりします。テレワークで単調になりがちな日々の生活を日記に綴ったり、人に会いづらい時代だからこそ、お手紙を書くことを楽しんでみるのもいいと思います。
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- 収納文房具でデスクを整理
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テレワークが浸透するなかで、デスク環境を整理して使いやすくする文房具がヒット商品になっています。その代表作が、立つペンケースやポーチです。自分の仕事道具一式をコンパクトにまとめて持ち運べて、お仕事するときには立てておけます。ペンケースは横に置くより、縦に置いたほうが省スペースですし、取り出しやすいんです。
立つペンケースは子どもにも人気
これは、子どもにも人気で、小学校は机のサイズは昔と変わらないのに、プリントが大きくなったり増えたり、タブレット端末を置く必要が出てきています。そういう理由から立つペンケースが好まれているんです。
ツールスタンドもお勧めです
定番なんですけど‥‥私も使ってみてお勧めなのが、取り出し口に40度の角度がついているツールスタンドです。よく使うペンやハサミなどを一式入れておくと、取り出しやすくて、戻しやすいんですね。文房具の定位置が決まることで、机が片づくようになります。他にも、いろいろな収納文房具が発売されています。
自分にとって心地いいデスクに
お手持ちの文房具を並べてみると、使っていない文房具がたくさん出てくると思います。そこからよく使う好きな文房具を選んで、収納文房具を使って整理するといいですね。そして、目が届くところに好きなモノをディスプレイして、心地よいデスクにすれば、朝から気持ちよく机に向かうことができます。
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◎左上 PACALI(パカリ)タテオキ/キングジム
◎右上 ネオクリッツシェルフ/コクヨ
◎左下 ツールスタンド/カール事務器
◎右下 ペンコ ストレージキャディ/ハイタイド
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- 楽しむ道具に進化
- 文房具は、もう単なる実用品ではなくて、さまざまな機能をはじめ、手触りや色、デザインを楽しむ道具に進化しています。これが絶対おすすめとかスタンダードとかはなくて、個人のライフスタイルやライフステージに合った文房具を選ぶのがいいですね。
手軽に生活をバージョンアップ
お気に入りの文房具を使うと気分は上がりますし、パフォーマンスがよくなります。文房具は、誰にとっても身近で、使う頻度が多いもの。その多くは手ごろな価格なので、ちょっと勇気を出せば生活を変えられます。ぜひ、お気に入りの文房具と出会って、生活をバージョンアップさせてください。
profile
- 福島 槙子さん
- 文具プランナー。ウェブマガジン「otegami - オテガミ -」編集長。ウェブマガジン 「毎日、文房具。」副編集長。ウェブ・SNSでの発信やTV・ラジオ・雑誌などのメディア出演を通して、文具のある素敵な日々を企画・提案。著者に「文房具の整理術」(玄光社)、「ニッポン全国文房具店ガイド」(玄光社)、「まいにち ねこ文具」(Pヴァイン)他。
関連サイト
otegami オテガミ
毎日、文房具。