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トップ - HomeClub特集 / 住まいのイメージをふくらませる - がんばらなくても無理なくすっきり片づく住まいづくり

Special Interview

がんばらなくても無理なく
すっきり片づく住まいづくり

#収納

多くの人が抱える収納の悩みや、片づかない理由は何か。そして、上手な収納のコツとは。
いつまでも美しく暮らせる住まいづくりを提案している一級建築士・水越美枝子さんにうかがった。

上手な収納にはセオリーが

――片づけるのが苦手という方が少なくありません。片づかない理由は何でしょうか。

水越 上手な収納には「セオリー」があります。それを知らないことが一番の理由だと思います。セオリーを知らないために、収納面積は確保できているのに片づかなかったり、セオリーを知っているのに、それに沿った収納がなく片づけられないケースも多いですね。

――セオリーとは何でしょう。

水越 必要な場所に必要な量の収納を設ける「適所・適量」の法則というものです。玄関の下駄箱はわかりやすい例ですね。靴を脱ぎ履きする場所に、必要な量をしまえる収納があれば、家族の誰もが迷わずしまえますし、使うときもすぐに取り出せます。しまう場所がわからないと、ついその辺に置きっぱなしになり、それが積み重なって、家全体が散らかってしまうのですね。

――適所を見極めるにはどうしたらいいでしょうか。

水越 家の中での人の行動を考えると適所が見えてきます。たとえば外出時に着るコート。個室のクロゼットにしまう方も多いですが、帰宅直後は洗面所で手を洗ったり、買い物の荷物をキッチンに持って行くことが多く、個室に向かうことは意外と少ないものです。そのため、個室に行く途中でコートを脱ぎ捨ててしまうのです。

――いったん脱ぎ捨てると、片づけるのが面倒になりますね。

水越 玄関にコート掛けやコートをしまえる収納があれば、面倒を感じることなく、習慣的に片づけられるようになりますよね。

適所を決めるには動線が重要

水越 コートの例のように、適所を決めるためには「動線」も大切な要素です。動線上に収納があれば、片づけやすいだけでなく、家事の時短にもなります。1階の浴室に隣接した洗面所に洗濯機と乾燥機がある場合なら、その隣にファミリークロゼットを設けることで、洋服をしまう時間を短縮できます。下着やパジャマなどはお風呂上がりに着替えることが多いですし、小さなお子さんがいる家では、着替えを大人が手伝う必要がありますから、服を着せるのに2階の子ども部屋に行くなどの手間もなくせます。

――朝の身支度で用意するハンカチも玄関の収納にしまえば、忘れることもなさそうです。

水越 適所を判断する際に役立つ「適所収納チェックリスト」をつくりましたので、ぜひ活用してみてください。


収納空間をムダなく有効活用

水越 しまうモノをカテゴリー別に分ければ、収納をさらに上手に使いこなせます。家族みんなで使うモノ、個人で使うモノ、一つの作業で使うセットのモノなど、誰が使うのか、どんな場面で使うのかで、ざっくりと分けるのです。分けたモノは「かご」を使ってしまいます。収納の中を棚で仕切ってかごを置けば、必要なときに引き出しのように取り出して使えます。棚とかごの奥行きは30㎝程度で十分です。それでたいていのモノは収納できます。奥行きが深い収納だと、奥のモノが隠れてどこにあるかわからなくなったり、取り出しにくくなったりしますが、そうしたことも防げます。棚の数を増やして仕切ることで、収納の空間を床から天井まで、隙間なく最大限に活用できます。

――収納の中にモノを置いても、空間を有効に使っていないというケースはよくありそうですね。

水越 収納面積が限られていても、セオリーを実行することで上手に収納することができます。収納が少ない場合でも、壁に棚をつくることで収納力をアップできます。きれいに片づいた家なら、ストレスなく暮らせるはずです。これから住まいづくりをする人には、ぜひ美しく住みやすい家を追求していただきたいですね。

――本日はありがとうございました。





水越美枝子(みずこし・みえこ)
一級建築士、キッチンスペシャリスト、日本女子大学非常勤講師、NHK文化センター講師。「一級建築士事務所アトリエサラ」を共同主宰。住居設計(新築・リフォーム)、インテリアコーディネイト、収納計画、キッチン設計など、暮らしやすく、いつまでも美しく暮らせる住まいづくりをモットーに総合的な家づくりを提案。収納やリフォームなどについての著書も多数執筆。最新著書は、『がまんしない家: これからの生活様式への住まいリセット術』(NHK出版)。